第94回選抜高校野球 元球児、初の夢舞台 島田市職員・荒波さん、審判として甲子園へ /静岡
<センバツ高校野球> ◇「県野球の発展に」 阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で18日に開幕する第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)に島田市職員の荒波宏則さん(44)が審判委員として派遣される。高校のときに出場できなかった夢舞台のグラウンドに審判として初めて立つ。「名誉なことであり、責任も重大。甲子園で学んだことを持ち帰って、県の野球の発展につなげたい」と抱負を語った。【山田英之】 荒波さんは、旧川根町(現在の島田市川根町)生まれ。小学2年生から野球を始めた。金谷高校の野球部時代は内野手。部員の投票で主将に選ばれたが、甲子園出場を果たせなかった。高校野球をやったことで、努力することや諦めない気持ち、仲間への思いやりが養われたと振り返る。 高校卒業後、合併前の川根町役場に入り、現在は島田市福祉課で働く。生活困窮者の支援を主に担当。職場の先輩に誘われ、22歳のころ、軟式野球の審判を始めた。他の審判のかっこよさ、奥深さを感じるようになり、夏の高校野球静岡大会でも審判を務める。経験を積むうちに「いずれ甲子園に立ちたい。もっとうまくなりたい」と審判の勉強をさらにするようになった。 審判歴22年。判定を誤り、失敗したこともあったが、やめたいと思ったことは一度もない。「高校野球は日本の風物詩。高校生の野球人生をかけた大一番に携われるのは喜びであり、それに応える正確なジャッジをしたい」と心がけている。 今回のセンバツに派遣されるのは東海4県で1人だけ。派遣が決まってから、週末は島田商高の紅白戦で審判をして本番に備えている。今までも土・日曜日は審判をしてきたため、「子どもたちとの旅行や家事をほとんどしてこなかった。今回のチャンスは一人だけでつかめたわけではない」と語り、理解をして時間を与え、支えてくれた家族に感謝している。