『ブギウギ』趣里×菊地凛子が“ゾーン”に入ったライブシーン 撮影裏を制作統括が語る
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。 【写真】客席の歓声の中「ラッパと娘」を全力で披露するスズ子 第15週で終戦を迎え、ドラマは戦後復興の物語へ。第67話では「とことんやられて、日本はなんもなくなってしもうた」と嘆く愛助(水上恒司)に、スズ子が「ワテは生きてここにいる」と力強く語り、互いに前を向いて歩き始める。 そんなスズ子の明るさに背中を押されたのは、茨田りつ子(菊地凛子)もまた同じ。第69話、りつ子は慰問先で特攻隊員へ歌を贈ったことを「悔しかった」といい、「歌は人を生かすために歌うものでしょ」と本音をこぼす。それを聞いたスズ子は「ほんなら、これからはワテらの歌で生かさな。今がどん底やったら、あとはようなるだけですもんね。歌えば歌うだけ、みんな元気になるはずや」とりつ子の言葉をパワーに変えるのだった。 制作統括の福岡利武は「戦争が終わっても“何か引きずるりつ子”というところまでしっかりと描き、スズ子の一言で力をもらう、という櫻井(剛)さんの台本がすごくいいなと思いました」と、これまでのりつ子の経験やスズ子との関係性があるからこそ、深みが増すストーリー展開を称賛する。 日帝劇場再開記念公演のステージでは、りつ子がフルコーラスで「別れのブルース」を披露。その意図について、福岡は「演出の盆子原(誠)も『フルで歌わなければ、りつ子の想いをしっかりと遂げるところまでは行き着かない』と言っていて、まさにそうだなと。男女の別れの話ですが、いろいろな別れ、そして再出発、といった想いまで、この歌で伝えられたらいいなと思いました」と説明する。 「同じ曲なのに、鹿児島の慰問先で歌ったときとは全然違って聞こえました。菊地さんは、特攻隊の前で歌ったあとに終戦を迎えた、という想いを胸に、いろんなアイデアを持って現場にいらしてくれて。2番でグッとマイクを掴むところなど、本当に素晴らしいなと思いました。“別れて出発しよう”という想いが感じられましたし、本当にいい表情で歌い上げてくださって、沁み入って聴いているスタッフが多かったのが印象的です」 歌唱後には、「めっちゃよかったです」と興奮するスズ子に、りつ子が「次はあなたの番、みんな待ってるわよ」と優しくほほえみかける。そんなりつ子の笑顔について、「台本にはとくに書かれていないので、そのときの菊地さんの感情が出たんだと思います。『一緒に行こう!』という気持ちの表れであり、歌い切ったという想いもあるのではないでしょうか」と話した。 続く第70話では、スズ子が久々に「ラッパと娘」をパフォーマンス。感情をあらわにするスズ子につられるかのように躍動したカメラワークが、より一層の臨場感をもたらした。 福岡は「『久々に大きく舞台で弾けられる』ということで、趣里さんも爆発されていましたし、撮影スタッフも『熱い想いをうまく汲み取ろう』と、どんどんライブ感が高まったのではないかと思います」とその理由を分析し、「本当に歌いっぷりが素晴らしいので、撮影部もそれに乗って、まるでゾーンに入ったかのような良い仕上がりでした」と自信を見せる。 「ドラマのスタッフがステージを撮るということで、最初は緊張感がありましたが、スタッフも慣れていい意味でリラックスしてきたこともあり、ライブ感をしっかりと捕まえられたのではないかなと。今後もその都度、その都度、演出は違いますが、ライブ感は大事になってくると思いますし、この後はスズ子が本物の大スターになっていきますので、“客席の心を掴んで離さない”といった表現ができればと思っています」 一時は歌う意味を見失っていたスズ子も、スウィングの女王として完全復活。無事に上海から帰国した羽鳥善一(草彅剛)と共に、新たなフェーズに突入したスズ子のライブシーンに期待が高まる。
nakamura omame