「日本フリーランスリーグ」が漫画家ら対象の調査結果を発表 『セクシー田中さん』日テレ報告書へ苦言も
6月4日、フリーランスで働く人の状況を調査・報告を専門に活動する一般社団法人「日本フリーランスリーグ」が、団体の発足と漫画家・イラストレーターを対象に行った調査の結果を知らせる記者会見を開いた。 【写真】名誉会長のやくみつる氏
「全てのフリーランスを対象にした横断的な調査」が目標
今年4月1日に発足した「日本フリーランスリーグ」(以下FLJ)は、「これまでにはなかったフリーランスで働く人の状況を精緻に調査し、正しい実像を世間に届けていく」ことを目的に活動する一般社団法人。 従来の調査は、各業界・業種で自立している「上澄み」のフリーランスの声のみが反映されていたこと、また各業界・業種ごとのフリーランス団体による調査であったためにフリーランス全体の課題や状況が伝わらなかったことを受けて、全てのフリーランスを対象にして団体間の垣根を越えた横断的な調査を実現することを目指す。 今回の記者会見には名誉会長のやくみつる氏(漫画家)、理事長の西野ゆかり氏のほか、アドバイザーのSAORI氏(映画業界で働く女性を守る会代表)や呉学殊氏(労働政策研究・研修機構統括研究員)らが参加。 当面は、文化・芸術・芸能関係のフリーランスを主な対象にして活動していく予定。
韓国の政策を目標にする
「自分は40年以上、フリーランスの立場で漫画やイラストを描いてきた。これまで大きなトラブルがあったわけではないが、思い返すと、契約書がない事態など、現在では通用しないようなことがあった。これからの時代は、それでは済まされない。 フリーランスは、国力を伸ばすという国是の担い手になっている。それにもかかわらず、常に不安を抱えている状況で仕事をしている。韓国の法制度なども勉強しながら、当面の目標を果たしたい」(やくみつる氏) 西野氏は「フリーランスを大切にしていくことが、結局は業界の生産性を上げて、日本を強くすることにもつながる」と語り、「韓国では、文化芸術政策で芸術家の地位と権利が守られたことでコンテンツ産業の売上高が大幅に上がった」とも指摘。 呉氏は、韓国では公正取引委員会がフリーランス向けに業種ごとの標準契約書を作成していることや、芸術家福祉法や芸術家権利保障法など法制度が整備されていることを説明。FLJでも、韓国の政策を参考にして提言を行っていくという。 SAORI氏も「韓国の状況について映画業界の人間はみな興味を持っているが、具体的にどのような制度になっているのか知っている人は少ない」と指摘して、韓国の政策を参考にする意義を強調した。