難聴の女性が地域おこし協力隊として移住「聞こえない人も自分らしく」 発信することで「生きやすい未来」へ
地域おこし協力隊として、2023年に岡山・倉敷市に移住してきた難聴の女性がいる。障害者手帳を持つ協力隊は市内で初めてだ。「暮らしのリアルを発信する」というミッションに挑む女性を取材した。 【画像】倉敷市での活動を発信している高石さん
地域の“何げない気づき”の発信を
高石真梨子さん(30)は、2023年に関東から移住し、倉敷市の地域おこし協力隊として活動を始めた。 倉敷市地域おこし協力隊・高石真梨子さん: 私のSNSを読んで、この文章を仕事にしてみないかと誘ってもらい、面白そうだと思って来た 聾(ろう)学校の教員として5年間務めていた高石さん。好きだった「文章を書くこと」を仕事にしたいと思っていたところ、知り合いから地域おこし協力隊の誘いを受けた。 右耳は全く聞こえず、左耳は重度の難聴。ふだんは左に補聴器を付けて相手の口の動きを読み取っている。 聞こえる家族の中で育ち、地域の学校に通ってきた高石さんは、音のある世界とない世界のはざまで生きてきた。 倉敷市地域おこし協力隊・高石真梨子さん: 困っていたのかな…、結構楽観的なので(笑)。(学校では)急に黒板に文字が増えて、え!って、ついていけなかったということもあったが、それは「私が集中力がなかったからなのかな」とか、それくらいの感じだった。私は声で話せるので、聞こえると勘違いされることが多いことが大変 県内で活動する協力隊の数は約180人。倉敷市の隊員で障害者手帳を持つ人は、高石さんが初めてだ。 倉敷市 くらしき移住定住推進室・西原彰秀室長: 倉敷市は文化観光都市と言われているが、生活の魅力や普段の何げない気づきの発信を、地域おこし協力隊の人に担ってほしい
取り組みを発信することで「生きやすい未来」へ
高石さんが発信する主なプラットフォームは、WEBメディア「倉敷とことこ」だ。 一般社団法人はれとこ・戸井健吾代表理事: 福祉や市民活動など、地域を構成する様々な要素を幅広く紹介するということが一つのこだわり。高石さんには、聴覚障害がある中で見える世界を発信してもらいたい 障害者のライターとして、手話サークルなど地元での活動を積極的に取材する高石さん。手話という言語は重要なツールだ。 倉敷市地域おこし協力隊・高石真梨子さん: このサークルには年齢に関係なくたくさんの人が集まっていますね 手話サークルでの交流: ボランティア活動をしている人も多いから、いろいろな人とつながりがあるよ 倉敷市地域おこし協力隊・高石真梨子さん: せっかく手話ができて、ライターとして倉敷に来たので、当事者や支援者がやっている取り組みを積極的に知ってもらうことで、私たちが生きやすい未来が作れたらいいなと思う 高石さんは、実際に取材して見たこと・感じたことを、写真を交えて記事にしていった。