【スモセコ編】時計を実際に作ってわかった。シチズン、セイコーなど国産汎用ムーヴメント事情2
そのため唯一あるミヨタ製のスモセコ付き自動巻きを使う場合は、どうしても4時半位置にあったスモセコをムーヴメントを時計回りに若干回転させて6時位置に移動させる必要が出てくる。京都発の新興時計ブランド“クオ”のオールドスミス 90-009(定価4万9800円)は、その手法をうまく利用してスモセコを6時位置に配置した35mm径の小振りなサイズで、1940年代の小顔ミリタリーウオッチを再現している。 一方で、3枚目に掲載した写真のモデルは、もともとスモセコが6時位置に設定されていて、しかも40年代当時と同様に手巻き式を採用するシーガル製ムーヴメントを搭載して昨年リリースされたアウトライン ミリタリーType1940(定価4万7300円)の新型だ。位置だけでなく、スモールセコンド自体も大きくできるようになったことから、グッとヴィンテージ感が増し、かなりオリジナルのダーティダースに近い雰囲気となっている。 このように自社で開発できず汎用ムーヴメントを使わざるを得ない場合は、その仕様次第で制約が出てくるためデザインも変えざるを得なくなるなど大きく影響する。これが開発するうえで毎回一番に頭を悩まされるところなのである。 さて、来週は「GMT機能編」をお届けする。 文◎菊地吉正(編集部)
菊地 吉正|パワーウオッチ、ロービートなど時計専門誌の発行人兼総編集長。時計ブランド「アウトライン」も展開。ロレックス通信連載