名棋士・阪田三吉、朝ドラ「ふたりっ子」 ゆかりの大阪・新世界で最後の将棋クラブ閉店へ
店内では密を避けるために盤を間引いたり、1つおきに使ったりした。消毒を徹底し、営業時間も短縮した。だが、緊急事態宣言が繰り返されるたびに、客が離れていった。「うちは何十年とやってきた店だから、お客さんの年齢層が高く、客同士のつながりも強い。それが切れると…」。感染法上の位置づけが5類に移行しても、客足は元には戻らなかった。一方で、新世界の界隈は今、コロナ禍前よりも訪日客でにぎわう。
街の変化、戻らない客足、店の老朽化…。経営は成り立っているものの、「いろんなことが重なり、そろそろ潮時かなと思った。寂しいけど時代の流れ」と閉店を決めた。常連客らに告げると涙ぐむ人もいたという。
20年以上通う常連客の藤原広志さん(81)=大阪市浪速区=は「閉店を聞いたときは信じられなかった。多趣味でダンスや詩吟なども楽しむけど、将棋や囲碁はこれで卒業かなあ。寂しいね」と話す。別の男性客も「千円で朝から晩まで気持ち良く遊べた。これから、どうしようか…」と閉店を惜しんだ。
「お客さん一人一人と大切な思い出がある。長い間かわいがっていただき、感謝の思いでいっぱい」と伊達さんは感慨深げに語る。最終日の30日も普段通りに営業するつもりで、その後どうするかは決まっていないという。