乳がんとお金(2)医療費以外で出ていくお金が…積み重なると結構な負担に
乳がん告知時は「右胸に病巣あり」だったが、その後の検査で左胸もがんであると判明。両胸の乳房部分切除術となった。診断から手術まで要した時間は約2カ月。この間にかかった治療費はほぼ保険診療の対象だ。限度額適用認定証及び高額療養費制度で1カ月の支払額の上限が決まっているのはありがたかった。 しかし痛感したのがそれ以外のところでこまごまお金がかかるということ。これらは高額療養費制度の対象とならない。 例えば、入院時のレンタルセット。私が入院した病院ではパジャマ、タオル、スリッパ、歯磨きセット、ボックスティッシュなどはレンタルが基本で、私が選んだものは1日税込み1890円。 個室にしたので、差額ベッド代金(入院した病院では5500円)もかかる。差額ベッド代金とは、入院患者自身が希望して個室などに入院した場合にかかる費用で、全額が自己負担である。 入院当時は3泊4日の予定だったが、術後の痛みはなかなか治まらず、1泊延泊することを決断した。結果、4泊5日の入院生活となった。つまり、入院時のレンタルセット代金と差額ベッド代金が1日分加算。 入院時には電車で約30分かけて病院に向かった。帰りも電車で、と思っていたのだが、やはり術後すぐに荷物を持って電車に乗るのは勇気がいった。何かの拍子で誰かとぶつかってそれが傷口付近だったら……。恐ろしくてタクシーを使った。1900円程度であった。 病院がアクセス不便なところにあったり、遠方だったり、病状が良くなかったりなどで、毎回タクシー移動を避けられない人もいるだろう。病院選びの際は、タクシーでの行き来になる可能性も念頭に置いておくといいかもしれない。 (源祥子/フリーライター) ◇ ◇ ◇ 筆者の入院した病院の場合、最初に10万円を現金で預けるシステム。差額ベッド代金がかかっていることもあり、戻ってきたお金は90円ほど。限度額適用認定証がなければ、高額療養費制度で後でお金が戻ってくるとはいえ、追加料金が発生していただろう。なお、入院のレンタルセットは後日払いだったので、10万円には含まれていない。