ベルリンの壁崩壊35年、ブランデンブルク門で分断の歴史伝える映像…ショルツ首相「欧州人は団結を」
【ベルリン=工藤彩香】東西冷戦の象徴だったベルリンの壁が1989年に崩壊してから、9日で35年を迎えた。壁崩壊の舞台となったブランデンブルク門では、28年に及ぶ分断の歴史を伝える映像が流され、多くの人が足を止めて見入った。
独西部ハノーバーから訪れたブルクハルト・フーゼマイヤーさん(57)は、「今も東西ドイツの経済格差は残っている。本当の意味での『東西統一』はまだ道半ばだ」と話した。
ショルツ首相は9日にビデオメッセージを寄せ、国際情勢は「非常に厳しい状況にある」と指摘した。自由と民主主義を求めて結束した先人のように、「欧州人は今こそ団結しなければならない」と呼びかけた。
ベルリンの壁は、東ドイツ政府(当時)が61年、西ベルリンへの国民流出を阻止するため、西側を包囲する形で約155キロ・メートルにわたり建設した。民主化運動が高まった89年11月、東独政府高官が国民の旅行を「即時に」自由化すると誤発表したのを機に東独国民が国境検問所に殺到し、壁が崩壊した。