「Mリーグ」U-NEXT Piratesが史上初のV2…悲願を達成した美人雀士「瑞原明奈」に直撃
麻雀のプロスポーツ化を目的とし、’18年7月に発足したMリーグ。毎年熱い戦いが繰り広げられており、将棋ファンの中でブームになっている「観る将」のように自分で対局することはせず観戦やイベント参加だけを楽しむ「観る雀」が生まれるほどの人気コンテンツとなっている。 【画像】すごい…!KADOKAWAサクラナイツ「岡田紗佳」の自宅に通う"イケメン彼氏"…! そんなMリーグの人気選手で、5月17日に閉幕した2023-24シーズンで2019-20シーズン以来2度目の優勝を果たし、リーグ史上初のV2を達成した「U-NEXT Pirates」(以下、Pirates)に所属する瑞原明奈(37)選手に今季の感想を聞いた。 「今シーズンは常に優勝を狙える順位をキープできていました。特に最後の数日間は優勝が日に日に近づいてくる感覚がありましたが、『まだ喜ぶな、まだ喜ぶな』と自分の気持ちを抑えることに努めていました。優勝が確定した瞬間は、安堵にも似た気持ちとともに、『これでチームを応援してくれている皆さんに喜びを届けられる』という嬉しさが、わーっと溢れてきました」(以下、発言全て瑞原) 今季は2年前にチームが掲げたスローガン「圧倒的に勝つ」を体現したシーズンだった。Piratesは小林剛、瑞原明奈、鈴木優、仲林圭を擁するチーム。昨年9月~今年3月のレギュラーシーズンは2位に大差をつけて首位で通過し、続く4月のセミファイナルシリーズも首位で通過。最終ステージのファイナルシリーズで優勝を勝ち取った。 まさに財宝を求めて大海原を征く海賊のごとき快進撃だったが、その理由をたずねると「シーズン中は点ではなく線のイメージがありました」と瑞原は言う。どういうことか。 「チームメイトが出場する試合は自分の試合、自分が出場する試合はチームの試合、という感覚が今シーズンは特に強かったです。一試合ずつ区切られてはいるのですが、ずうっと地続きで試合が行われているイメージ。前の試合でチームメイトが悔しい負け方をするほど、『私がやり返してくる!』と私も皆も燃えていましたね。それが影響したのかわかりませんが、誰かが4着に沈んでもすぐに誰かがトップを取ってリカバリーする、という場面が多かったです。ずるずるとポイントを減らすことがなかったことが大きかったと思います」 瑞原の「迷言」にも注目が集まった。それは昨年6月、Mリーガー、各プロ団体推薦者が出場する「Mトーナメント2023」の予選卓でのこと。試合に快勝した瑞原は、直後の勝利者インタビューで「今日のテーマは“ゴリラ麻雀”だったんです」と笑顔で答え、視聴者は「ゴリラ麻雀って何だ」と頭に?マークを浮かべた。以来、ファンのあいだでゴリラ麻雀は瑞原の代名詞となっている。 「きっかけは、YouTubeの自チャンネルでやったゲーム配信でした。IQ診断みたいな内容だったのですが、よくルールも理解せずに進めたら、『IQ80 ゴリラ並み』という判定が出たんです。アホではないけど人間より少しIQが低い、といった解説文を読んでピンときました。私は常々、麻雀には鈍感力が大事な局面というのが割とあると思っていました。いろんなことに気を回し過ぎると、時に手が縮こまってしまう。そこを鈍感力で薙ぎ払うことで勝利に結びつくことは結構あります。この、私が思う鈍感力のある麻雀のイメージがまさに『ゴリラ』だなって(笑)」 もっと可愛い動物に例えればよかったと後悔していないか、と本誌記者がたずねると、瑞原は笑みを浮かべて「でも」と続ける。 「私はあまり可愛く扱われるのは苦手でして…ゴリラと呼ばれるほうが嬉しいです(笑)。常にゴリラ麻雀を打っているわけではないのに、いつもゴリラと呼ばれることには多少の戸惑いはありますが、麻雀プロとして自分の雀風に名前を付けられたことは純粋に嬉しい。最近は街の麻雀店でも『ゴリラリーチ!』と言っている人がいるそうですが、麻雀を見る人も打つ人も、ぜひゴリラで盛り上がってほしいですね。私も試合中、頭の中で『ここはゴリラだ!』と思って打牌している局面があります」 ゴリラ麻雀が功を奏したか、レギュラーシーズン、瑞原はMリーガー全36名中、3位となるポイントを稼ぎ、チームに貢献。まるで呼応するかのように鈴木は1位の成績でMVPを獲得し、仲林も4位とMVP争いを演じた。 向かうところ敵なしに思えるPiratesだが、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。むしろ、どん底だったと言っても過言ではないだろう。 2019-20シーズンで初優勝を果たしたのは先に触れた通りだが、翌2020-21シーズンはまさかのレギュラーシーズン敗退。続く2021-22シーズンもファイナルシリーズ進出を逃したことで、Mリーグの規定でメンバーを入れ替える事態となり、チーム設立メンバーだった朝倉康心、石橋伸洋がチームを去った。鈴木、仲林が加入し、新体制で臨んだ2022-23シーズンもファイナルシリーズ進出を逃す。今シーズン、もしレギュラーシーズン敗退なら、またしてもメンバーを入れ替えなければならない。まさに崖っぷちだったのだ。 「2年前は本当に地獄のようでした。レギュラーシーズンを首位で通過したにもかかわらず、上位4チームに残ることができずにセミファイナルで敗退。小林、朝倉、石橋、瑞原の4人のPiratesが好きだと言ってくれる人もたくさんいたので、その人たちを悲しませてしまった。それが自分の中に罪のような形で重く残っていました。あのときの悲しみを癒やすことはできないかもしれないけれど、応援してくれているファンの方々に優勝という結果を届けないといけないという想いがありました。 昨シーズンは5位に終わりましたが、選手の地力の高さは感じていました。新メンバー加入で手探り状態だったチーム内の関係性も1年をかけて構築し、チームが一丸となったという手ごたえがありました。なので私は、今シーズンは開幕前から『優勝する』と、いろんなところで口に出していました。レギュラーシーズン敗退なんてことは少しも考えず、優勝しか見ていませんでした」 旧メンバーに彼らのファンの想いも乗せた海賊船の優勝は、ファンならずとも感極まったことだろう。長い夜を抜けたPiratesだが、オフシーズンはどのような航海となるのだろうか。 「願掛けで子供たちに優勝したら2DAYSのお泊りディズニーに連れて行ってあげると約束していました。なので家族でディズニーに行ってきます。もう予約はしたのですが、料金が想像よりはるかに高くって…(苦笑)。あとはオフシーズン中に麻雀の実力をもう一段上げるため、今シーズンの課題を再度ブラッシュアップする期間にするつもりです。 Piratesは今シーズン、『MVPを輩出したチームは優勝できない』、『レギュラーシーズン首位通過のチームは優勝できない』といったMリーグのジンクスをいくつも打ち破ることができました。残るジンクスである、『前年度優勝チームはファイナルシリーズ進出ができない』というジンクスもPiratesが破ります。『連覇したチームがいない』というジンクスもPiratesが破ります。これが来シーズンの目標です」 気高き女海賊は早くも次の目的地を定め、ゴリゴリに突き進んでいくようだ。 取材・文:芳賀 慧太郎
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