【能登半島地震1年】自宅が液状化被害 半年以上待っても工事始まらず…なぜ? 建築業者も苦悩【新潟】
能登半島地震から1年を迎えた被災地の今を シリーズでお伝えします。 1回目は、自宅が液状化の被害を受けた被災者についてです。 復旧工事が進まない現状を取材すると、そこには 工事を請け負う建築会社の苦悩がありました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ■田中洋子さん 「昔から作るようにしていたけれど、意欲が沸かない、 作る意欲が、だからあんこも焦がしちゃって」 新潟市西区に住む田中洋子さん。 液状化現象の被害を受けた自宅で、新年を迎えました。 ■田中洋子さん 「1年は早かったですね、あっという間に あれよ、あれよという間に1年経っちゃいましたね」 能登半島地震で新潟市西区や江南区を中心に 液状化現象の被害が拡大。 住宅の被害は1万7000棟以上にのぼり 被災者の生活再建は道半ばです。 ■田中洋子さん 「楽しく元気に自由に生きております。どうぞ孫や子どもを お願いいたします。もうすぐ行きますので待ってて下さい。 南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」 田中さんは14年前に夫が他界し、一人暮らしです。 ■田中洋子さん 「この写真が一番好きなんですよ。まだお互いに若かったですわね。 40代でしたから、夫は50代」 「(記者:ご主人のことを愛していたんですね)あれですよ、喧嘩ばかりしてましたけどね。私はこの家が朽ちる時に私も一緒に朽ちたい、 だから他に移る気持ちはございません。 思い出の土地ですもんね、2人で作った家ですから」 夫と暮らした築50年の自宅。 液状化で家の中心部が盛り上がり、放射状に傾きました。 ■田中洋子さん 「なんとなく斜めになってるのは感覚的に頭も痛いですし 肩も痛いですし体の調子がとても悪い。やはり気分も浮き沈みがあり 、何となく沈んでしまう時がある」 「ここが液状化になりましたからね。 濁り水が川のようにダーと泥水流れてすごかった」 液状化は、地震の揺れで、地下水や砂が地表に噴き出す現象で、 建物が傾いたり、沈んだりする原因となります。 ■田中洋子さん 「一日でも早く家を直してほしい。雪が降る前にそれが一番です。」 被害判定は半壊。 家全体の傾き向きを直すには、1000万円以上かかるとされ、 諦めました。 茶の間など、主な生活空間となる3部屋分の床を およそ100万円をかけて直す予定で、補助金の申請を終えましたが、 未だ工事が始まりません。 ■田中洋子さん 「5月24日に(補助金の)許可出ているのに、 まだ工事に入らないってどういうことですか!? 2~3日前も業者に電話したけど通じない」 田中さんが工事を依頼している『アサツマ建築店』。 朝妻勝人さん、 新潟市建築組合連合会の副会長です。修復工事について… ■アサツマ建築店 朝妻 勝人さん 「仕事してもお金が入ってこない、それが一番。」 「(記者:どこからお金が入ってこない?)新潟市から」 工事が終わると、業者が新潟市に報告書を提出。受理されると、1カ月半後に市が業者に入金します。 報告書の複雑さが、時間がかかる要因の一つだと言います。 ■ アサツマ建築店 朝妻 勝人さん 「工事中に写真を色々撮っていて、編集をして、書類を作って、 それを持って区役所の窓口に出向いて、2~3時間待って やっと受付をして、だいたい1回で通らない、写真が不備だとか」 報告書の受け付けだけで数週間、受理されるまでに1カ月、 さらに、支払いはその1カ月半後だと言います。 ここから1月3日素材 もどり 入金までに時間がかかると、建築業者は運転資金が不足するため、 補助金による工事を避けると言います。 ■ アサツマ建築店 朝妻 勝人さん 「前受け金、もしくは中間金で、 せめて半分でももらえばスムーズにいくし工事をやる人も増える」 復旧工事を引き受けるのは、朝妻さんの組合・副会長としての責任感、 この時、70もの案件を抱えていました。 自宅で茶道教室を開いている田中さん。 雨漏りすることがあった茶室を 先週、修理することができました。 ■田中洋子さん 「凄く嬉しかった。ここ使えないって言ったら 私の右腕取られたみたいなものですから。 私のライフワークはお茶ですから」 一方で、自宅の傾きを直す工事は『今年中』と言われていて 開始の時期は見通せていません。 ■田中洋子さん 「家の中は何も手がついてないから、これからですよね。1・2・3月寒いから今度梅雨までに終わるんでしょうかねってすごく心配してます。梅雨までには終わらないと困る」