男子バレー、新生全日本が抱えている課題
5月23日から12週間にわたり開催されてきた男子バレーボール、ワールドリーグ2014が29日、最終戦を迎えた。ここまで11連敗の全日本(世界ランキング17位)は若手中心のドイツ(世界ランキング10位)と対戦。フルセットの末、ドイツを破り今年度の初勝利を挙げた。主将としてチームを率いた越川優は、試合後のヒーローインタビューで感極まり、言葉を詰まらせた。「海外ラウンドから日本に戻ってきて、日本の観客の前で試合をしているこの3週間。日本代表として勝てないみじめさ、ふがいなさ、悔しさを感じました。その選手全員の思いが今日の試合の結果につながったと思います」。 今年度から全日本男子の指揮をとる南部正司監督は言う。「この大会ではとにかくセッターの深津英臣に経験を積ませたいという思いがありました。軸となるセッターに成長してほしかった。深津にとっては初めての全日本。国際試合の経験がありません。国内リーグでプレーするのと同じようにトスを上げることがいかに難しいかという世界のレベルがよくわかったと思います。サーブレシーブが国内リーグほど正確に返らない、そして高いブロックに阻まれる中でどうやってアタックの決定率を上げるかを考えてほしかった」。 前日に行われたドイツ戦では、相手のブロックシステムが見えず、2人、3人とブロックがそろったところにわざわざトスを上げてしまうミスもあった。何より、低く、ネットに近いトスが目立ち、そのせいでアタッカーがブロックにつかまる失点が多かった。深津は言う。「シニア代表は初めてですが、経験を積むとかそういう考えではなく、勝ちに行こうと思って試合に臨んでいます」。 勝利を収めた最終戦では、前日からトスを修正して臨んだ。「体勢が悪いときほど、しっかりトスを浮かせて、アタッカーがブロックを見る余裕を持てるようになった」(南部監督)と、アタッカーの決定率を上げ、深津の復調がこの日の勝因のひとつとなった。新生全日本として全敗はまぬがれたわけだが、今大会を通じて残念だったことがある。新しい全日本がチームとしての課題を克服していく過程を見られなかったことだ。