アフリカ輸出入銀が初のサムライ債、新規銘柄への需要で672億円
(ブルームバーグ): アフリカ輸出入銀行は14日、同行として初めてとなるサムライ債を起債した。格付け対比で厚めのスプレッド(上乗せ金利)を設定して投資家の需要を集め、発行総額は672億円となった。
エジプト・カイロに本部を置きアフリカ地域の貿易を推進する同行は、10年債を含む5年限で起債した。5本のうち発行額が最大の2年債の発行条件は、TONA(無担保コール翌日物金利)ミッドスワップに対するスプレッドが177ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、発行利率が2.37%に決まった。
日本格付研究所(JCR)は同行について、株主からの強い支援や高い収益力などを評価点として長期発行体格付けを「A-」としている。同格付けのニプロは10月に期間リスクがより高い5年債を利率1.24%で起債しており、今回債の利率の高さは際立つ。
主幹事のSMBC日興証券で海外発行体のデット・シンジケーションを統括する安達薫氏は、新規銘柄への投資や国内債よりも魅力的な利回りを求める投資家の需要を喚起したと説明した。先進国の発行体が多いサムライ債市場で、「さらなる市場拡大へのマイルストーンになった」との見方を示した。
日本銀行が利上げに動く中でも、調達手段の多様化などを目的としたサムライ債発行は増えている。2024年の発行総額は14日時点で約1兆2500億円と、同期間として過去5年で最大。韓国輸出入銀行も21日に起債する予定で投資家の需要を探っている。
SMBC日興の原田賢太郎チーフクレジットアナリストは、サムライ債市場は新型コロナショックなどで縮小していたが、「年を追うごとに回復傾向にある」と話す。調達源の多様化ニーズに加え、国内社債よりも高いスプレッド(上乗せ金利)を求める国内投資家の需要が発行を後押ししているとみる。
SMBC日興によれば、アフリカ輸出入銀は今回、機関投資家に加えリテール(個人投資家)向けに3年債141億円を起債した。
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Takahiko Hyuga