約9人に1人はかかる「乳がん」。高齢出産、初潮が11歳以下、閉経が遅い人はリスク高
女性に多い「乳がん」。検査で一度石灰化が見つかってから不安を感じている読者のお悩みを、産婦人科専門医の高尾美穂先生が解決します。乳がんのリスクが高い人やセルフチェックの方法を聞きました。
読者のお悩み:乳がん検診で石灰化を発見。良性でも不安が残ります
乳がん検診で石灰化がみつかりました。右カテゴリー1、左カテゴリー2で、ともに「再検査なし」で良性でしたが、このまま放っておいていいか不安です。日々の生活で気をつけるべきことを知りたいです。(Iさん・49歳)
高尾先生の回答:セルフチェックと、2年に1回のマンモグラフィをお忘れなく
女性に多い「乳がん」。レディースクリニックのなかにはマンモグラフィや超音波(エコー)検査ができるところもありますが、乳がんの検査や治療を行うのは乳腺外科で婦人科ではありません。今回の相談は私の専門外ですが、大切なことなので一般論としてお話をしますね。 相談者さんが検診で発見された「石灰化」とは、乳腺内にカルシウムが沈着した状態のこと。石灰化は乳がんでも確認されるため不安になりますが、約8割は良性です。診断結果はカテゴリー1~5に分類され、1は「異常なし」、2は「良性」で、3以降でなければ問題ないとされています。相談者さんの場合、医師から「再検査なし」と言われているので、それほど心配する必要はないでしょう。
セルフチェックと検診で乳がんの早期発見を
乳がんのリスクが高い人は、初潮が11歳以下/閉経が遅い/出産や授乳経験がない/初産年齢が高い(高齢出産)/母親や姉妹など近親者に乳がんにかかった人がいる/飲酒習慣がある/喫煙者/閉経後肥満(肥満指数であるBMIが25以上)…などが挙げられます。 乳がんは乳房にできるため、セルフチェックで発見されることも少なくありません。胸がはりやすい生理前を避け、月に1度は入浴時などのタイミングで乳房を触ったり観察したりして、異常がないか確認しましょう。 そしてセルフチェックと同時に病院での検査も忘れずに。40歳以降は2年に1回のマンモグラフィが国で推奨されています。上記のリスクが気になる方は年1回、乳腺外科で超音波検査をすると、より精度の高い判定を受けることができるでしょう。 乳がんは、いまや約9人に1人はかかる時代。罹患率も30代後半からグンと増加します。乳がんの対策は、なによりも早期発見・早期治療です。セルフチェックと検診を欠かさないようにしてくださいね。
ESSE編集部