「今でも泣ける…」名作ドラマ『教師びんびん物語』が描いた「教師という生き方」のリアル
■野村さんとのコンビも最高! これまでにない教師ドラマを作った作品
『教師びんびん物語』がヒットした要因の1つに、田原さん演じる先輩教師の龍之介と、野村さん演じる後輩教師の榎本英樹とのコンビネーションがある。 龍之介はまっすぐに子どもたちと向き合う熱血教師だが、榎本はちょっと頼りない感じもある気弱な教師だ。龍之介は子どもたちのためなら無謀なこともするタイプで、気弱な榎本はよく引っ張りまわされていた。 そんな対照的な2人のコンビは物語が進むごとに人気となり、榎本が困った顔でいう「せんぱ~い」というセリフは、ドラマが放送されていた当時流行しており、どこかしこで耳にした記憶がある。 この『教師びんびん物語』は、それまでにない教師のドラマでもあった。『スクール☆ウォーズ』や『3年B組金八先生』(ともにTBS系)が生徒に熱くぶつかり合うスタイルだったのに対し、『教師びんびん物語』は教師自身の生き方や考え方、過去にも焦点を当てていたのが特徴だ。 たとえば、萩原流行さん演じる一見やる気のない教師の満田亀造。しかし虐待を受けるなどの壮絶な生い立ちを持っており、物語終盤には自身の教師としての生き方と向き合うこととなる。 また舞台となる小学校も再開発の影響を受け、廃校の危機を迎える。教師と生徒一丸になって廃校問題へと立ち向かうものの、時代の波には逆らえなかったという結末はとてもリアルだった。 このように『教師びんびん物語』は教師の葛藤や成長を描く新しい切り口で、話題と感動を呼んだのだった。
■田原さんが歌った主題歌も大人気、その後の教師ドラマに影響も与えた作品
『教師びんびん物語』はドラマの内容だけでなく、そのテーマ曲も大ヒットした。 主題歌を歌ったのはもちろん主演の田原さん、曲名は『抱きしめてTONIGHT』だ。ノリの良いアップテンポな曲はドラマのイメージともピッタリで、誰もが歌いやすい歌詞も良かった。 そしてなんといっても印象的なのが、曲の前奏から全力で踊る田原さんのダンスである。足を高く上げるこのダンスは唯一無二であり、ドラマのインパクトとともに大流行した。また、田原さんは『教師びんびん物語II』でも『ごめんよ 涙』という主題歌を歌っている。 そして、田原さんの『教師びんびん物語』は、その後の教師ドラマにも大きく影響を与えたのは間違いない。90年代にヒットした『GTO』や、2000年代にブレイクした『ごくせん』も、教師の人間味や葛藤が描かれている。『教師びんびん物語』が生み出した“生徒と共に悩み、成長する教師”というスタイルはその後のドラマでも受け継がれ、今や教師ドラマの王道となっているとも言えるだろう。 田原さんは今年芸能活動45周年を迎え、冒頭でも紹介したアニバーサリーツアーを終えたばかりだ。その高い歌唱力と完成されたダンスは健在で、現在でも多くのファンを楽しませている。 今でも昔と変わらないパフォーマンスで私たちを楽しませてくれる“トシちゃん”。できれば徳川龍之介が今度は校長先生になって戻ってきてくれないかな……と、ひそかに願っている。
でかいペンギン