「卵子凍結」は何歳までに? PMSで鬱っぽくなるのは普通? 閉経したら体はどうなる?「女性ホルモン」に左右される"悩み"にアンサー
思春期から50歳前後の閉経まで、私たちは女性ホルモンと連動して生きていく。ジェンダーにとらわれることなく、自分らしい人生を自由に選べる時代であっても、毎月生理があるのも、妊娠・出産も、女性の体だけに起こること。そんな女性特有の年齢による変化を、産婦人科専門医の稲葉可奈子先生が解説。 【写真】40代が老化の分かれ道!知っておきたい骨と筋肉のケア習慣 稲葉可奈子(KANAKO INABA):産婦人科専門医。関東中央病院産婦人科医長。みんパピ!代表。京都大学医学部卒。東京大学大学院で医学博士号を取得。診療の傍ら、女性がよりよく生きるために必要な知識や正確な医療情報をSNSやメディアを通じて発信。子宮頸がん予防などの社会活動も行う。双子含む4児の母。
個人差が顕著にでるのは、60代から。
それぞれに抱える悩みがあるにせよ、「20代、30代は基本元気。体力が低下し、代謝が下がってきたと感じるのは40代から。50代の更年期はアフター思春期のようなもの。困る症状があれば婦人科に行けばいいし、何事もなく穏やかに過ぎていく人もたくさんいます。ネガティブに捉える必要はありません」(稲葉先生)。 稲葉先生が注目するのは、筋力や体力が衰える60歳以降。「10~30代は同世代でそこまで差はありませんが、60代から先は個人差がとても大きい。同じ年齢で10歳くらい若く見える人もいれば、10歳くらい老けて見える人もいます。その見た目の差は、美容意識の高さや生活習慣だけじゃなく、仕事をもっているか、趣味があるか、人付き合いがあるか、が大きく影響。大事なのは、どんな気持ちで過ごしているかなんです」。 骨がもろくなったり血圧が上がりやすかったり、生活習慣病にもなりやすい更年期以降。「でも働き続ける年数がのび、60代でも社会とつながっていられます。不調は上手にコントロールしながら、加齢にあらがうのではなく、よりよく年を重ねる“ウェルエイジング”を目指しましょう」
PMSも生理痛も月経過多も、悩んだらMY婦人科医に相談
フェムテックの流れで生理を快適に過ごせるグッズが増えたのは大歓迎。でもモノで解決できない不調は山ほどある。 「暴飲暴食、体調不良、イライラや鬱っぽくなるPMS。寝込むほどの腹痛が続く生理痛。病気ではない、と諦めて毎月大量の鎮痛剤を飲む人も多いようです。症状の有無、軽い・重い、にその人の生活習慣は関係なく、単純にホルモンのしわざ。本人にはコントロールできません。自分でコントロールができるものではないけれど、治療は可能です。 その裏に、子宮内膜症や月経困難症などの病気が隠れているケースもあるので放置は禁物。出血過多は、子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどの可能性があり、不正出血は子宮のがんや子宮頸管ポリープ、卵巣機能不全も考えられます。 いずれにせよ、自己判断で我慢するのではなく、専門医を受診して。疾患がなくても、生理痛やPMSは、低用量ピルや子宮内に装着するホルモン剤(ミレーナ)、漢方薬などで緩和も可能。排卵を止めることで子宮や卵巣の負担を軽減する低用量ピルは、子宮内膜症の悪化を防ぎ、過多月経を軽減する効果も。体に合わない場合は種類を替えられるし、妊娠しにくさに影響もしません」