「赤い光弾ジリオン トライチャージャー&JJ」レビュー
POSE+からついにアクションフィギュア「赤い光弾ジリオン トライチャージャー&JJ(以下、トライチャージャー&JJ)」が発売された。 【画像】「赤い光弾ジリオン」はブルーレイが2015年に発売されている。アニメ配信サービスなどでも視聴可能だ 1987年のアニメ「赤い光弾ジリオン」は、ジリオンという"銃"がタイトルとなっているという他に例のないアニメ作品。スペシャルチームに選抜された3人の若者が、「神に与えられた神秘の銃」といわれる銃・ジリオンを手に戦う物語だ。青春ドラマを意識した爽やかな作風とギャグ要素に、タツノコアニメらしいシリアスさを盛り込み人気を集めた。今回の商品、「赤い光弾ジリオン トライチャージャー&JJ」は「赤い光弾ジリオン」の主人公JJ(ジェイ ジェイ)と、サポートメカ・トライチャージャーがモチーフとなっている。 トライチャージャーはJJが所属する特殊チーム・ホワイトナッツの機動力を増す三輪バギーで、悪路はもちろん雪原も走破する高い能力を持つだけでなく、戦闘強化服形態・アーモレーターに変形、高い戦闘力を発揮し、空中移動も可能となる。「トライチャージャー&JJ」は劇中同様変形ギミックを搭載。加えて印象的な場面を再現できるパーツも充実している。 「赤い光弾ジリオン」では放映当時スポンサーのセガから「ジリオン」の光線銃に加え、フィギュアなどが発売されたが、その後はヒロイン・アップルのフィギュアくらいでほとんど関連商品は出ていなかった。トライチャージャーは魅力的なメカであり、「現代の玩具技術でトライチャージャーの変形フィギュアが出て欲しい」と待ち望んでいた人は筆者だけではないだろう。POSE+はその夢を叶えてくれた。商品のギミックと魅力を紹介していきたい。 ■ 神秘の銃を持つJJ達をサポートするバギー型メカ・トライチャージャー 最初に「赤い光弾ジリオン」とトライチャージャーを紹介しよう。本作は西暦2387年、人類が宇宙に進出した時代が舞台となる。人類の植民惑星の中でも「惑星マリス」は"第2の地球"とも呼ばれるほど繁栄していた。しかし銀河帝国を目指す凶悪な宇宙人・ノーザ星人がマリスに襲いかかり、人類は危機に陥る。ノーザ星人は戦闘に特化しており、一般兵士すら拳銃弾が効かないほどに強い。科学技術も人類を凌駕していて、人類は危機に陥る。 困難な状況の中、人類に未知の超文明から3丁の銃がもたらされた。その銃は対象を分子崩壊させる驚異的な力を持っており、「神に与えられた神秘の銃」として「ジリオン」と名付けられた。しかし銃の核心部分であるブラックボックスは解析不可能。量産もできない状況で、マリス防衛軍はこのジリオンを扱えるエキスパートをコンピュータによって選別、特殊装備とジリオンにより様々な任務をこなすスペシャルチーム「ホワイトナッツ」を結成した。選ばれた3人の若者達、コードネーム「JJ」、「チャンプ」、「アップル」はジリオンを手に戦いの荒野へと突き進む……。 今回の商品のモチーフとなる「トライチャージャー」はホワイトナッツの地上用サポートメカ。もう一台の地上用サポートメカであるサイドカー型の「ライディングセプター」は高速走行に優れるが、トライチャージャーは岩場や雪原など走る場所を選ばない走破性に優れる。 さらにトライチャージャーは強化服型のアーモレーター形態に変形が可能。アーモレーターは、訓練なしに扱えるほど簡易な操縦方法でありながら、格闘能力が高くパンチやキックでノーザ軍の歩行兵器すら破壊する。さらにブースターによって短時間の飛行が可能で、劇中では様々な場面で活躍した。 アニメでトライチャージャーは第6話「発進トライチャージャー」で本格的に投入される。第14話「戦場のナイチンゲール」では対象の護送に、第16話「生か死か!? 宿命の対決(後編)」では敵の空中要塞にアーモレーター形態で空を飛んで侵入するなど、随所で印象的に運用されている。 もう少しだけ「赤い光弾ジリオン」のアニメの話をしたい。アニメ「赤い光弾ジリオン」はゲームメーカー・セガ(当時セガ・エンタープライゼス)がスポンサードした最初のアニメ作品で、「ジリオン」はセガが当時販売していた赤外線でサバイバルゲームができる光線銃玩具であり、劇中でも玩具そのままの姿で活躍する。「光線銃をアピールする番組」というのが企画のスタートだったのだ。 光線銃「ジリオン」は、商品のモデルチェンジに合わせ、アニメ劇中でも「ニュージリオン」と改良される。またアニメではセガのゲーム「ファンタジーゾーン」の自機「オパオパ」が劇中のマスコットメカとして活躍するなど、セガの存在を積極的にアピールする一面もあった。 また「赤い光弾ジリオン」はアニメ制作会社「Production I.G」の前身である竜の子制作分室が制作を行っており、本作が事実上のProduction I.Gのデビュー作となる。また京都アニメーションも制作に大きく尽力している。「ジリオン」はその後のアニメ業界を牽引するスタッフ達が多く関わる作品としてアニメ史にも重要な作品なのだ。才能あふれるスタッフが様々な想いを込めて制作しており、未見の方は是非チェックして欲しい。 次章から、商品の詳細に迫っていこう。 ■ 劇中の魅力をたっぷり再現したJJとトライチャージャー それではいよいよ「トライチャージャー&JJ」の紹介をしていこう。本商品はその名の通り、トライチャージャーだけでなく、JJのアクションフィギュアも力が入っている。多彩な可動はもちろん、豊富な握り手、表情パーツが用意されている。 ノーザ兵の中には特殊な能力を持つ兵士や、改造によって強化されたサイボーグもいて、彼等とJJ、チャンプ、アップルの派手なアクションシーンは大きな見所だ。フィギュアは関節が多数仕込まれているだけでなく、可動範囲も広く、劇中の派手なアクションを再現したポーズ付けが可能だ。また、JJはコメディリリーフな一面も強いキャラクターで、商品ではコミカルな表情パーツでその雰囲気を再現できる。 商品で嬉しかったのはジリオンが新旧どちらも用意されていたこと。旧ジリオンはエネルギーボックス(商品では電池ケース)から有線で銃に接続、銃も未来感あるデザインだった。これは放送前から販売されていたセガの光線銃玩具「ジリオン」の姿そのままだ。 実際の光線銃「ジリオン」は、番組放映中にデザインが変更される。ニュージリオンはエネルギーボックスと一体化、実銃やSFアニメ的な意匠の強いデザインとなった。商品はこの2つのジリオンが同梱されている。 アニメではこのジリオンの交代を「改良」として印象的なエピソードで行った。ニュージリオンはエネルギーを解放することでより強力な攻撃が出来るだけでなく、アタッチメントによってスナイパーライフル型、サブマシン型にできる。 そしてトライチャージャーだ。「変形後に手足になるんだろうな」というパーツ構成の"変形メカ"としての主張が強いデザインではあるが、しっかりと3輪バギーの形をしている。前輪などは衝撃を吸収する設計になっており、デザインに説得力がある。かなり大型の3輪バギーだ。 操縦はコンソール側面の2つのレバーで行う。商品のレバーは根元がボールジョイントになっていて自由度が高い。モニタ画面は複数の画面が印刷されたクリアパーツが用意されていて、様々な画面に差し替え可能だ。可動カ所の多いJJのフィギュアと絡めるだけでなく、長いアームのある台座と接続することで様々な場面を演出できる。 面白いのは変形機構を使って手のひらを出した場面を再現できるところ。これは第14話「戦場のナイチンゲール」でJJがトライチャージャーを使って運搬用の車両を押すときに使った機能。変形できるトライチャージャーならではだが、アニメ全37話中、使用されたのはこれ1回きりなのだ。しかしトライチャージャーとしては特に印象的な使われ方で、商品にこの場面を再現できるパーツを用意した開発者のこだわりが嬉しい。 次ページではアーモレーター形態に変形させていこう。 (C)タツノコプロ
HOBBY Watch,勝田哲也