新型コロナでリーガ中断も久保建英がポジティブな理由とは?「僕の夢はハッキリしている」
マジョルカが消化したリーグ戦27試合で24試合に出場し、そのうち13試合で先発。ドリブルを仕掛けた回数と相手選手からファウルを受けた数で、リーグ全体におけるトップ10に名前を連ねている。 20クラブ中で2部への降格圏となる18位にあえぐマジョルカで、中盤の右サイドを主戦場として、いまや攻撃面でキーマンとなっていることがわかる。しかも、守備的に戦わざるをえない試合がほとんどを占めるなかで、タックル成功数やインターセプト数など守備面でも上位に入っている。 「攻撃と守備の両方で多くのことを学んでいる状況が、自分の成長を大きく助けてくれています」 インタビューのなかで現状をこう語った久保は、期限付き移籍していた横浜F・マリノスから復帰した昨シーズンのFC東京で、攻撃面でだけでなく課題だった守備面でも出色のプレーを連発。覚醒とも表現できる急成長を遂げ、マドリードへの移籍を勝ち取るまでの前半戦でこんな言葉を残している。 <何て言うんですかね……他の味方の選手たちも体を張って守っていますし、変な目で自分を見ることなく、普通にボールを奪った、というぐらいに思っていただければ幸いです> <サッカーはチームスポーツなので、自分が、自分が、というわけにはいかない。チームの勝利が最優先されるなかで、土台となるコンセプトを実践できなければ、当然ながら試合に出られない。実践した上で自分の特徴を攻撃面でしっかり出して、いいアクセントになればいい> 育成年代に所属した古巣FCバルセロナの絶対的存在、アルゼンチン代表FWのリオネル・メッシを「小さなころから、彼のビデオを見てきました」とも明かしている。 「サッカー選手になりたいと思っている若手だけでなく、僕のように左利きで、背が高くなくて、ドリブルやボール扱いを武器とする選手にも最高のお手本となる、本当に偉大な選手です」
久保の身長173cm、体重67kgに対してメッシのサイズは170cm、72kg。ほとんど変わらない上に同じ左利きのアタッカーとなれば、幼いころから憧憬の念を抱かないはずがない。いまとなっては、日本でプレーしていた時期に残した言葉の数々がメッシを意識していたと思えてくる。 <自分が成長し続けるために大切なのは気持ちですね。具体的には貪欲さというか、上には上がいるという意識です。どんどん追い越していきたい、という気持ちを抱きながら毎日を過ごさないと> <基準を作ってしまうと、それよりも上へ行くことはないと思うので。なので、上の基準は作らずに、最低限の基準を誰が見ても『あっ、すごいな』と思えるプレーに置いていきたい> スペインでは3月14日に非常事態宣言が発令され、全土でロックダウン(都市封鎖)が始まった。近所への食料品の買い出しなどが許可されているものの、大人の場合は必ず一人で外出しなければいけない。7都府県で緊急事態宣言が発令されている日本よりはるかに厳しい状況下でも12日現在で新型コロナウイルス感染者が16万6019人を、死者が1万6972人を数えている。 自宅待機を命じられている久保は午前8時半に起床。午後11時には就寝する規則正しい生活のなかで、ビデオ通話越しにコーチのアドバイスを受けながら、午前中に4、5人のグループに分かれて日々のトレーニングを消化し、午後は個人練習や趣味の読書などの時間に充てている。 マジョルカへの期限付き移籍は今シーズン終了までとなっている。延期されたマドリード戦やバルセロナ戦を含めて、11試合を残すリーグ戦がどうなるのかも現時点ではわからない。 「いまはできるだけ事態が早く落ち着いてほしい、ということだけを考えています。他の選手たちと同じく僕もサッカーのために生きていますけど、健康が何よりも重要なものなので」