妻千名美さん（左）らに囲まれ、仕事もサッカー観戦も充実した日々を送る戸田庸允社長（右）＝19日午後、浜松市中央区のハヤシ産業

　サッカーJ1ジュビロ磐田の試合を存分に観戦できる環境を求め、2020年に横浜市から浜松市中央区に移住した戸田庸允さん（34）が今年6月、転職先の楽器関連メーカーのハヤシ産業（同市中央区）のトップに就任した。「ジュビロを応援しながら自分も会社も一緒に成長したい」と思いを語った。 　小学生時代の1997～2002年ごろ、中山雅史（J3沼津監督）、藤田俊哉（磐田スポーツダイレクター）、名波浩（日本代表コーチ）ら名選手を擁して黄金期を築いた強いジュビロに憧れを抱いた。首都圏の会社に就職しても熱は冷めず、公式戦全戦を観戦。“ジュビロ愛”は妻千名美さん（34）にも波及し4年前、思いきってジュビロのホームタウンの一つ、浜松市へ移り住んだ。 　就職活動は引っ越し後から。ちょうど、後継者を探していたハヤシ産業の面談を受け「将来、社長になる気があるなら」と条件を告げられ、就職を決断。前職の経験を生かした営業活動や、会社のホームページの立ち上げなどで実績を積み、前社長から「今までの取り組みを見て事業継承してもらえると思った」と社長に任命された。 　同社は従業員7人で大手楽器メーカーのピアノの部品に使用されるフェルトの加工などを手がける。戸田さんはトップ就任で忙しくなり、サッカー観戦はしばらくホーム戦だけになりそうだが、「浜松市内の会社は縦も横もつながりが強い。協力しながら、会社を良くしていきたい」と抱負を語る。 　ジュビロは今季、残留争いに巻き込まれている。戸田社長は「補強ができない期間があった中、今年からJ1に復帰した。なんとか踏ん張って残留し、横内監督が築いてきたものを来年以降も継続し、タイトル獲得につなげてほしい」と願った。