「第一の焦点はピッチ。そして国際戦略と育成」モナコCEOが描くクラブの未来
クラブの価値を守らなくてはいけない
リーグ・アンの中で、確かな存在感を発揮しているASモナコ。リーグ優勝は8回を数え、直近では2016-17シーズンに優勝を果たしている。昨季には南野拓実を獲得し、長き伝統を誇るモナコ・アカデミーで育て上げた選手と各国のトッププレイヤーを融合させることで、強力なチームを作り上げている。昨年CEOに就任したブラジル人のチアゴ・スクーロ氏は、クラブの特長を「サッカー業界において非常にユニークな存在だと考えている」とし、その言葉の真意を明かした。 「私たちはクラブのクオリティと価値を高く評価しており、それを守るという大きな責任を負っています。サッカークラブである以上、第一の焦点は常にピッチ上での仕事にありますので、明確な原則を持ってクラブ作りに取り組んでいます」 「選手の育成を通して、エキサイティングでアグレッシブなサッカーを生み出すことを目指しています。我々のサッカー・プロジェクトは、明確なプレースタイル、明確な選手のキャラクター、そして、中長期的な勝利戦略を中心に据えています」 今季、28 試合を終えた時点で順位は3位。「チャンピオンズリーグへの復帰」を目標に掲げている。主力選手の負傷や、アジアカップやアフリカネイションズカップなどの代表活動で選手が離脱するなか、狙い通り上位争いに加わっている。来季はクラブ創立100周年の記念の年でもあり、「特別な年にチャンピオンズリーグに出場できるように」終盤戦のパフォーマンスに期待を込めた。
重要なマーケットの一つ、日本
マーケティング面では国際的なプロモーションを進めており、さらなる海外進出に積極的に取り組んでいると言う。「さまざまな市場とつながるチャンスがあります。日本市場はその一つです。海外のファンや企業、ブランドとつながるために、多くの努力を続けています」と語るとおり、重要なマーケットの一つが南野獲得によって推し進める日本市場だ。 同時にモナコ・アカデミーの存在も忘れてはならない。スクーロ氏は選手育成の重要性について説明する。 「我々は明確なコンセプトのもと、選手を育成しています。選手がより成長すれば、チーム力も向上します。さまざまなプレースタイルを選手の特性に融合させています。もちろんサッカープレーヤーとしてだけではなく、人としても成長しなくてはなりません。選手の育成に資源、アイデア、資金を投入することで、選手の全体的な成功を目指しているのです」 クラブの価値をさらに向上させようと取り組みを続けているモナコ。最後にスクーロ氏は、今後の野望を口にした。 「我々の大きな野望は、ASモナコをより国際的なブランドにすることです。スポンサーや新しいブランドを誘致し、新しい市場のファン層とつながるための戦略を練っています。ピッチ上により多くの投資を行い、若い選手に焦点を当て、モナコを持続可能なサッカークラブにすること。ヨーロッパで最高のアカデミーの一つとして維持し続けることを目指しています。我々は正しい方向に進んでおり、すぐにこれらの結果を達成できると確信しています」
林遼平