選挙の面白さを伝える畠山理仁が見た泡沫候補の政策「江戸城再建、都民全員に3000万円配る」
心に残る公約、マック赤坂
選挙にはこれまで20回以上出ているものの、一度も当選経験はなし。選挙中、2000人キャパの大ホールを借りて個人演説会を開催するものの、客はゼロ人ということもあった。客席にいるのは畠山さんと大川総裁だけ。普通なら心が折れそうなものだが。 「メンタルがめちゃくちゃ強いんです。その上、話題が尽きなくて、いくらでも話せる。こんな選挙運動をしている人がいるんだ、とびっくりしました」 そんな山口氏だが、最近はお金の節約もあるのか(例えば都知事選に立候補すると供託金だけで300万円かかる)、「出馬表明をしてその記者会見をする」だけのことが多くなっているという。それが7回ほど続いたので、一部の選挙好きからは「出る出る詐欺」と言われているそうだ。 そんな泡沫候補を取材していくうちに、深みにハマっていった畠山さん。 もちろん都知事選挙も長らく取材してきたが、これまで多くの候補者が掲げてきた政策があるという。それは「江戸城再建」。 「私は99年から都知事選を本格的に取材しているのですが、その頃から『江戸城再建』はいろんな人が言っています。東京都のシンボルとして、観光の目玉にすると」 他に心に残る公約はあるだろうか。 「マック赤坂さんが都知事選に立候補した時には、『眉間に皺を寄せて歩いたら罰金3万円』という公約を掲げています。スマイル党なので、スマイルすることで世の中が明るくなる。厳しい顔をして歩いていると良くないと(笑)」 そうして最近のトレンドは「ベーシックインカム」。過去最多の56人が立候補した今回の都知事選でも複数人が掲げていたという。 「少なくとも3人が導入しようと言っていました。牛窪信雄さんという方が月額10万円、新藤伸夫さんという方が月額20万円、未来党の木宮光喜さんという方が月額24万円と言っていました。それが、同じ選挙で同じ政策をいろんな人が言っていると化学変化が起きてくるのも面白いんです。新藤さんの個人演説会に行ったら月額30万円と、20万円から値上がりしていました。『どうしたんですか』って聞いたら、『未来党の木宮さんが24万円で自分の20万円よりも多いからもっとあげなきゃと思って』とのことでした(笑)」 柔軟といえば柔軟だ。ちなみに「未来党」の公約は「徳政令」。「住宅ローンなどすべての利子付き借金を帳消しにする」というもの。 「財源は、トランプ大統領がディープステートから取り返した金塊だそうです。アメリカだけでなく、日本にもその一部があると。『その金塊、どこにあるんですか』と聞いたら、『みずほ銀行にあると聞いております』と木宮さんが真面目な顔で答える(笑)。それでベーシックインカムも賄えるということでした」 もし、この原稿を読んでいるみずほ銀行関係者がいたら、その「金塊」について教えてくれないものだろうか…。 ちなみにお金絡みの公約では、「一定の期間を過ぎると半額になる給付金」を配ることを掲げていた候補者もいるという。 「澤繁美さんという方です。都民1人あたり100万円のデジタル給付金を渡して、1ヶ月以内に使い切らないとお金の価値が50万円になるという『半減期つき貨幣制度』を提唱していました。そうすればみんながお金を使うので経済が回り続けるということでした」 一方、ベーシックインカムを20万円から30万円に「値上げ」した新藤さんは、別の値上げも敢行していた。