中井学が解説するPGAツアー選手パッティング図鑑【ローリ―・マキロイ、ラドビッグ・アバーグ編】
トラックマンなどの計測器の進化と、コーチや選手自身の分析能力の向上により、効率化を進めた結果、個性的なスウィングは少なくなったが、パッティングは別。何を武器にして、PGAツアーの高速グリーンに対処するか、そこにはそれぞれの「哲学」が見え隠れする。トッププロたちの技術の結晶があるパッティングについて、2024年5月7&14日合併号の「週刊ゴルフダイジェスト」で中井学プロが解説している。昨日のスコッティ・シェフラー、松山英樹の解説に続き、「みんゴル」ではローリー・マキロイとラドビッグ・アバーグの解説をお届けしよう。
ショットからの連続性を重視するローリー・マキロイ
<ローリー・マキロイ(北アイルランド、34歳)> 世界ランキング2位、賞金ランキング42位 PTランキング41位、平均パット数:1.758 ショートスラントの「スパイダー」は、使ってみると思った以上にフェースの開閉を要求されます。マキロイはドライバーからパターまでの連続性を重視して、パターも「ショットのように」打ちたいタイプなので、その意味ではベストなチョイスだと思います。フォローで右肩が前に出るのが、ショットと同じで「みぞおち」をターンさせて打っている証拠。ボールの見送り方は、ショットなのかパットなのかわからないくらい同じ雰囲気が出ています。
右手人さし指は外しているが、ショットと同様に左右の手でしっかりホールドするタイプ。
感性を生かしたパッティングをするラドビッグ・アバーグ
<ラドビッグ・アバーグ(スウェーデン、24歳)> 世界ランキング7位、賞金ランキング4位 PTランキング4位、平均パット数:1.753 24歳と若いこともあり、メカニックを気にするというより、感性を最大限に生かしてパットしているという印象です。手元を支点とした振り子ではなく、手元も横移動するハンドスライドタイプで、フェースの開閉は少なめです。手元が動くことで、必然的にヘッドの利きは抑えられますが、PGAツアーをはじめとするプロツアーの速いグリーンに対応するには、むしろ有効と言えます。全体としてはナチュラルでスムーズなストロークです。
左手人さし指が逆オーバーラッピングになっている。 極めてオーソドックスなグリップ。 === TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Blue Sky Photos ※2024年5月7日、14日合併号「週刊ゴルフダイジェスト」より
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