何年経っても色褪せない…『からくりサーカス』号泣名場面の数々
■エレオノールの幸せを願ったギイの最期
フェイスレスとの最終戦で、大量の自動人形が主人公のひとり・加藤鳴海たちのもとへと送り込まれる。その数3000体と絶望的で、誰かが足止めをしなくてはならなくなる。 その役を真っ先に買って出たのがギイで、彼は鳴海たちを送り出すと、襲いかかる自動人形の大群を次々と倒し続けた。しかし、ギイの肉体はとっくに限界を迎えていて、万全の状態ではない……。 そのため3000体の自動人形を葬るだけの爆弾を仕込み、自爆する機会を狙っていた。ギイは最初から死ぬ気でいたのである。 爆弾を爆発させればすぐに片がつくが、ギリギリまで戦い続けて必死に粘ったギイ。その間にこれまでの出来事を思い返し、自分は最期にどんなセリフを残すべきかと考える……。 最終的に彼は、自分はエレオノールを嫁がせる父親のような存在だと気づく。彼は、鳴海がエレオノールにとってふさわしい男だと認めたからこそ、ふたりには幸せになってほしいと願っていた。 やがて左腕が折れて限界を迎えたギイは、そんなふたりを想いながら決断をする。「幸せにおなり……だ…」そう心の中で呟くと、自動人形を道連れに自爆をしたのだ。 自らの役目を果たしたギイは幸せそうな顔をしていたが、あまりにも悲しすぎる。エレオノールと鳴海が結ばれた姿を見守ってほしかった……と思わずにはいられない。
■アルレッキーノとパンタローネ悲願の成就
作中で最初に憎むべき強敵として現れたのが、「最古の四人」だった。中でもアルレッキーノとパンタローネは別格の強さを持っていて、鳴海も苦しめられることになる。 そんな敵として登場したふたりだったが、彼らの目的はずっと変わらない……。フランシーヌ人形を笑わせる。そのためだけに多くの人間を殺すこともしてきた。 しかし、フェイスレスとの戦いになった時、目的を失いかけていたふたりの前にエレオノールが現れる。フランシーヌと瓜二つのエレオノールを見て、彼らの前に再び忠誠心が湧き上がってきた。 そこから自分たちに命令をしてほしいと話し、エレオノールに「戦って、勝ちなさい。そして…かならず戻って来なさい!」と命じられると、これまでにない喜びと使命感を持って「最後の四人」と戦うのだった。 しかし、最後の四人の能力は凄まじく、ふたりは再起不能へと追い込まれてしまう。すっかり力尽き、もうじき動けなくなる……そんな状態でも命令を守り、エレオノールのもとへ必死で戻ったアルレッキーノは、そこで彼女が鳴海に向けた幸せそうな満面の笑顔を見た。 その瞬間、彼らの長きにわたる悲願が成就する。アルレッキーノはパンタローネに「フランシーヌ様が笑っていらっしゃるぞ!」と話しかけ、すでに動かなくなっていたパンタローネも笑顔で答えていた。 もともと最悪の敵として憎んでいたはずなのに、それすら忘れてしまうほど心が通ったのを感じられた、素晴らしいシーンである。