BMW i5 詳細データテスト 乗り心地は硬め ハンドリングは良好 航続距離は物足りない
走り ★★★★★★★☆☆☆
2車種のうち安価なほうのi5が、BMWブランドを力強い走りで代表する存在になるとは予想しないだろう。この価格帯の5シリーズ・セダンとしては、500ps近いPHEVの550eも存在するが、このi5の下位機種でも、それなりの速さと、魅力的なハンドリングを備えている。 ややコンディションはよかったとはいえ、加速性能のテスト結果は、2022年にテストしたメルセデス・ベンツEQE350+を明らかな差をつけて降した。ただし、ツインモーターのジェネシス・エレクトリファイドG80はこれよりも速く、もっと高価な四輪駆動のテスラ・モデルSはさらに速い。 もっとも、テスラのライバルにはよりパワフルなi5 M60があるので、シングルモーターのi5はこの価格におけるパフォーマンス面の予想を大きく超えるようなものでなくても構わない。元気で、レスポンスがよく、0-97km/hが5.4秒というのは、この価格としては思ったより速いという程度だ。 ほかのEVのように、BMWはマイモードと銘打った走行モードをやや曖昧で抽象的なものとした。その項目はスポーツ/リラックス/エクスプレッシブ/デジタルアート)。しかし、さほどしきりに切り替えたいと思うようなものではないかもしれない。 そのほか、Bレンジを選ぶとワンペダル運転が可能になり、スロットルペダルの残し具合で回生ブレーキの効き具合を調整できる。エネルギー回生は3段階のプリセットと、クルマ任せのアダプティブ制御を選べる。スロットルをいつ戻すかで大胆さが試されるような状況下では、どの程度のエネルギー回生をしているのか不正確でもしかたないところだと思う。テスター陣はほとんどが、プリセット値で固定したときのほうがドライバビリティがシンプルでいいと感じた。
使い勝手 ★★★★★★☆☆☆☆
■インフォテインメント BMWのiドライブは、OSがバージョン8.5となり、iXやi7がそうだったように、このシステムはエアコンや室内照明、ヘッドライトの設定など、実体スイッチがほしい機能の操作系が統合された。画面の余地にショートカットを設けて、望んだ機能へのすばやいアクセスを目指したが、小さすぎて運転中には使いにくい。 ドライバーにとっての救いは、iドライブらしいダイヤルコントローラーがセンターコンソールに残されたことだ。しかしながら、メルセデスのようなステアリングホイール上のカーソルコントローラーはないし、メインメニュー画面から特定の機能を呼び出すには時間がかかって、気も散る。 ナビは音声認識での入力がしやすく、ルート選択も賢くて追従しやすい。テスト車には1250ポンド(約23万円)のバウワース&ウィルキンス製オーディオが装備されていたが、サウンドはパワフルかつ鮮明で、細部の再現性も高い。背景ノイズが低い車内ではそれがよく感じられる。 ■燈火類 アダプティブLEDヘッドライトは標準装備。パワフルで減光はすばやいが、対向車が眩しそうだと感じることもあった。 ■ステアリングとペダル フットウェルは広く、ペダル配置は位置も間隔も上々。手動式ステアリングコラムの調整幅は広い。