<渡辺大知>同じ日に亡くなっている行成と道長 巡り合わせに「ドキッと」 一条天皇とは「ビジネス」と割り切れず苦悩
◇自分の意図してないようなところで「生きる糧になっていた」
以前、行成の道長に対する思いを「憧れを超えた恋心」とも表現していた渡辺さんだが、「道長に対して『この人を知りたい』というのが行成の生きる上でのモチベーションにもなっている状態が、ある種“恋心”にも似たというか。憧れを超えたっていうのは、そういう意味合い」と説明する。
「道長がどう思っているのか、見えないのって気になると思うんですよ、底知れなさというか。この人はこういうとき、どういう気分になるのか、世の中が変わっていくところを、どういう視点で見つめているんだろうとか。『どう思いますか?』と尋ねても、はぐらかされたり。(行成にとって道長は)この人のことをもっと知りたいと追いかけたくなるような存在というか、自分の生きる指針の一つでもあるような」
史実では道長と行成は同じ日に亡くなってるが、渡辺さんは「その運命のような、巡り合わせを知ったときにドキッとしました」と振り返る。
「まだクランクインする前だったのですが、行成も自分の意図してないようなところでこの人を知りたいとか、支えたいとか、そういう思いが、勝手に自分の生きる糧になっていたのかなって妄想したりもしました」
◇「これはビジネスだ」と思って割り切ることができていれば
一方で、行成にとって一条天皇はどんな存在なのか。
「すごく聡明で、自分の意見もしっかり持った上で、周りを気にかけていると思うのですが。ただ若さゆえに自分の感情で突っ走ってしまう人でもあって。でも行成は、一条天皇自身が『本当は悪いこと』と分かっているのも理解している。それは近くにいるからこそ、感じられる部分であり、政治的には今の発言はなしだなって思うことも、一個人として愛せてしまう。だから一条天皇の暴走も何とかいい解決策を見つけられないかという思いで揺れ動かされしまう」
行成と一条天皇の心の距離の近さを感じている渡辺さん。