生島ヒロシ×岩本さゆみ 物価高・円安の今も日本は<世界一のお金持ち国家>だった!30年以上連続「対外純資産世界一」が意味すること
◆アメリカは借金まみれでも大丈夫? 岩本 日本は国外への貸し出しが世界一のお金持ちの国と言えますし、一方のアメリカは世界最大の借金大国と言えます。それでもなお、アメリカが世界経済の中心にいるので海外から資本が流入しやすいです。 また、アメリカは対外債務もありますが、対外債権も額としては大きいです。米ドルが基軸通貨として確固たる地位を維持しているため、対外債務のほとんどがドル建て、というのも大きなポイントですね。 世界経済が順当に拡大する時期なら、世界中からアメリカに投資資金が舞い込みますが、サブプライム危機や9.11同時多発テロというような、ひとたび危機的状況が発生すれば、海外投資家は一斉にアメリカから資金を引き揚げます。 借金大国アメリカの米ドルは、潜在的には売られやすい状態にあるとも言えます。ただし、ドルが下落してもドルベースの対外債務がほとんどですから、米国の債務者の負担は増えません。為替差損を被るのは海外投資家です。また、ドル安・外貨高なら米国の投資家の保有する海外資産は為替差益を生じます。 生島 それで米投資家もこの円安のステージでもどんどん日本の株を買っているんですね!
◆ドル安とドル高の動きの違い 岩本 これは私の為替ディーラーとしての経験則からですが、ドル安の動きはドル高以上に速い場合が多いです。数日で数十円円高に動いても、まったく驚きません。 生島 つまり、対ドルに対して、円安になるスピードより、円高になるスピードのほうが速いことが多いということですね。 岩本 はい、経験上、そういう傾向が強いと感じています。話を日本に戻しますと、「日本の借金は1200兆円超え」と不安をあおる報道をよく耳にするのですが、世界一の日本国全体の資産には触れずに、政府の負債の金額ばかりを取り上げるのもいかがなものかと思うんですね。 生島 そうだ、そうだ! もっと良い部分に目を向けよ! ※本稿は、『日本経済 本当はどうなってる?』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
生島ヒロシ,岩本さゆみ