女子トイレ前で土下座強要、日常的に暴言浴びせられ「転校」余儀なく…中学時代の「いじめ」で提訴
●調査されるが、その過程で恐怖心を抱く
調査の過程でも、被害者であるマサトさんに対して厳しい対応がされた。調査委員からの聞き取りで「加害側の生徒をよそのクラスに移したいか?」「その3人をよそのクラスに移す。そうすれば学校に行ける?チクるよりもっと酷いことになる。仕返しが」と言われていた。 「この聞き取りの後、息子は『3人が来る。怖い』と漏らすようになりました。調査後も市教委は、教育の安全環境を整える手立てを何一つしてくれませんでした。こうして転校の結論を出さなければならなくなりました」(母親) 2020年3月、調査委が報告書を作成した。それによると、いじめについては一定の範囲で認めた。一方、10月以降のマサトさんは欠席は「病欠」(理由不明)で「いじめが原因でマサトさんが学校に行けなくなっているとは認め難い」と判断して「いじめ重大事態」と認定しなかった。 これに対して、マサトさん側は、いじめについて誤った認定がされことや、調査委に話した内容が違っていること、「重大事態」としなかったことで再調査を求めた。 小学校時代にアンケートが破棄されていたほか、調査委は議事録を作成せず、調査時の録音データも削除するなどの行為が明らかになっていた。しかし、市長は認めなかった。 こうした流れは報道もされたこともあり、有志の市民が2024年6月、1300筆を超える署名付きの「いじめ重大事態についての再調査を求める請願書」を市議会に出した。 しかし、「子どもたちに相当な精神的な負担を強いて再調査をおこなうことが本当に当事者のためになるのか」などと、市議会で反対意見が出されて、政策総務常務委員会で不採択となった。そのため現在までに再調査はおこなわれていない。
●いじめ加害者と市を相手に裁判を起こした
マサトさん側は2021年10月、加害者3人と市を相手取り、損害賠償を求める裁判をさいたま地裁に起こした。近く結論が出る見込みだ。 「息子はいじめを受けたうえ、事実と違う報告書が一方的に作成されました。訂正をお願いしても、『もう終わったこと』とされました。学校や市教委は間違いと認め、ただちに改善してほしいです。自己保身や責任転嫁でなく、いじめられた生徒に寄り添ってほしい。被害を受けた子どもの時間は二度と巻き戻すことはできませんから」(母親)