女子トイレ前で土下座強要、日常的に暴言浴びせられ「転校」余儀なく…中学時代の「いじめ」で提訴
●ノートに落書き、女子トイレ前で土下座させられる
クラスメイトのケンジ(仮名)からもいじめを受けた。日常的に「顔面が汚い」「ブス」「ゴミ」「お前みたいなクズはいない」「消えろ」などと暴言が繰り返された。 また、「数学のノートを貸して」と言われた。マサトさんはノートに薄くマンガのキャラクターの絵を描いて、いつでも消せるようにしていた。ケンジに渡したところ、落書きされた。 ケンジは、消せないように筆圧を強くして、キャラクターの股間に男性器を描いた。さらに「私は巨乳」というセリフを付け加えた。教科担当の教師に提出するノートだったが、マサトさんは落書き部分を破って机の中に押し込んだ。 タカシ(仮名)もいじめに加わった。「死ね」「社会のゴミ」「キモい」「お前ほどブスな奴はいない」などの暴言を浴びせられた。反論すると、週3回くらいの頻度で、すねを蹴られた。女子トイレ前で無理やり土下座をさせられたこともあった。 「1学期の中間テスト前に『テストで点数が低かったほうが土下座をする』と命令させられたんです。断ると、またいじめられると思い、いやいや了承したんです。テストが終わったあと、先に順位を言われ。一方的に『俺の勝ち』『約束通り土下座しろ』と言ってきたんです。 断っていたんですが、学校3階にある女子トイレの前で四つん這いになり、頭部を押さえられ、土下座をさせられました。なぜ、トイレの前だったのかはわかりません。トイレから出てきた女子生徒が『何やってるの』と言っているのが聞こえました。人だかりができ、とても恥ずかしく、みじめでした」(マサトさん)
●加害生徒側が反対して「学校復帰」できず
いじめは1学期中あり、2学期もこのまま続くと思ったマサトさんは、母親に助けを求めた。母親が学校に伝えると、学校は加害生徒に注意すると言ってくれた。しかし、いじめはやまず、学校側の対応も十分ではなかった。 「最初はいじめを認め、加害生徒は謝罪の意向を示していた。しかし、加害生徒の保護者が入ってから、校長たちは加害生徒側の意向を優先するようになったんです」(母親) 当初は、マサトさんが教室復帰し、2週間をめどに加害生徒3人を他のクラスに移動させることになった。しかし加害生徒側が納得せず、弁護士を立てたことで、当初の案が覆された。最終的には「加害生徒のクラス替えはしない」として、マサトさんが別室に移動することになった。 そのことで、マサトさんは学校復帰できず、最終的には被害者であるマサト自身が転校を考えざるを得なくなった。転校のためには住所を変えなければならず、転校先を母親が探した。 市教委は2019年11月、「児童生徒事故報告速報」をまとめた。それによると、市教委は「いじめ重大事態」としていた。マサトさん側は学校に対して、いじめ防止法に基づく調査委員会の設置を求めたこともあり、市教委の附属機関である「市いじめ問題調査委員会」で調査をおこなうことになった。 「調査委が開催されると、学校はさらに対応しなくなりました。『いじめ問題調査委員会が立ち上がって、我々の手から離れてしまっている』『結果が出るまでは何もできません』と担任から言われました。 加害生徒側にも弁護士がいて、学校との間で決まったことが覆されました。そんなことが3回ありました。それに調査委員には、市の教育行政との利害関係者が複数名いたことがわかっていて、公平・中立とは名ばかりです」(母親)