育鵬社版教科書 不採択 中学校公民、13年ぶり変更
教科書の八重山採択地区(石垣市、与那国町)で来年度から4年間使用する中学校教科書を巡り2市町の教育委員会臨時会が15日、それぞれ開かれ、公民的分野では日本文教出版の教科書を採択した。2012年度から使用されている育鵬社版は不採択となり、公民教科書は13年ぶりに変更される。育鵬社版を巡っては、自衛隊や日米安保条約の役割が強調されているなどとして、市民団体が問題視する声明を発表していた。 石垣市、与那国町で組織する教科用図書八重山採択地区協議会(会長・崎山晃石垣市教育長、委員8人)は9日の会合で16種の教科書を選定し、13日付で両市町の教委に答申した。両市町の教育委員会ともすべて答申通り採択した。 崎山教育長によると、協議会では公民に関し、委員の間で日本文教版と帝国書院版を推す意見があり、全会一致に至らず投票に持ち込まれた。結果は日本文教版5票、帝国書院版2票だった。公民には6社の教科書があるが、現行の育鵬社版は候補に上がらなかった。 石垣市教委臨時会での事務局の報告によると、今回の教科書選定では、文科省が児童生徒に一人一台のタブレット端末を配布する「ギガスクール構想」を進めていることがポイントになった。 協議会ではQRコードを使い、デジタルコンテンツを豊富に活用した教科書が高く評価される傾向にあった。公民の日本文教版はそれに加え、領土問題、憲法改正問題の記述が充実していることも選定の決め手になった。 育鵬社版の採択に反対する市民団体の運動が協議会への圧力になった可能性について、崎山教育長は臨時会後の取材に「静謐(せいひつ)な環境が侵されないよう配慮したつもりだ」と否定した。 両教委は今月末までに採択結果を県教育委員会に報告する。 一方、単独採択地区となっている竹富町では、町教育委員会が町教科用図書採択地区審議会の答申に基づき2日、独自に教科書を採択した。公民教科書は帝国書院版となった。