SEC、暗号資産企業の提訴が止まらない
「脅しの戦術」
これは長年のパターンに合致する。ゲーリー・ゲンスラーSEC委員長は2021年の就任以来、暗号資産業界はSECの管轄下にあるとして、業界の取り締まりを続けてきた。 取り締まりは、FTX破綻をきっかけに劇的に強化された。FTXの破綻劇は、創業者兼元CEOのサム・バンクマン-フリード氏が米規制当局と親密な関係であったことを考えると、米規制当局にとっては特に恥ずべきことだった。 SECは現在、大小を問わず、暗号資産企業に対する法的措置に不釣り合いなほどの時間と資金を費やしている。SECは2023年11月以来、暗号資産企業に対して毎月少なくとも1件の訴訟を起こしており、その大半は気づかれることなく、通常は和解で終わっている。 「SECはRobinhoodにウェルズ通知を送ったばかり。ここ数カ月で暗号資産に関して彼らが送った通知の数は驚くべきものだ。彼らが一度にこれほど多くの執行措置を起こす(起こせる)とは想像しがたい」とVariant Fund(ヴァリアント・ファンド)の法務責任者ジェイク・チェルビンスキー(Jake Chervinsky)氏はXで語った。 「彼らは今、ウェルズ通知のプロセスを脅しの戦術として悪用しているように思える」 ある意味で、こうした訴訟、特にCoinbase(コインベース)やRobinhoodのような有名企業に対する訴訟は、暗号資産業界が本質的に無法地帯であることを示そうとする試みだ。 これはSECが全面的に悪いわけではなく、議会が10年以上も暗号資産規制を放置し、今は党派間の対立に阻まれているということでもある。 「(SECが)なぜこのようなことをしたのかはわからない。しかし、今となってはルールを後戻りさせることはできない」とイェール大学ロースクールの博士候補で、影響力のある暗号資産法論文の共著者であるボー・J・バウマン(Beau J. Baumann)氏は述べ、「その意味で、すべてが不誠実。仮に執行措置が違法なら、規制の策定はより明らかに違法だ」と続けた。 「議会は法的な落とし穴を避けるために新たな法律を制定すべきだが、実際にそうするかどうかは私にはわからない」とバウマン氏は付け加えた。