能登半島地震で被害を受けた水道インフラ 復旧はいまだ道半ば 作業を阻む倒壊家屋と人手不足
トイレの横に仮設浄化槽を設置
珠洲市宝立町にある見附公園の公衆トイレ横には、仮設浄化槽がありました。浄化槽とは汚れを微生物に食べさせて、水をきれいにする装置です。この公園ではきれいになった水を川につながる水路に流しています。
震災前の見附公園は、トイレから出た汚水は、公共の下水道管を通って浄化センターまで運ばれ、きれいにしてから川に流されていました。しかし、能登半島地震でこの地域の下水道管は激しく破損。復旧までかなりの費用と時間がかかることから、仮設の浄化槽を設置することにしました。似たような仮設浄化槽は現在、宝立地区に約50基設置されています。 地上に仮置きしたのは、あくまで公共の下水道管の復旧を目指しているからです。
名古屋市上下水道局 坂之下 佳亮さん: 「基本的に浄化槽は地中に埋まっています。このように地上置きはそもそも珍しい状態です。今のところ目途は立っていませんが、なるべく早く復旧できるように我々も尽力します」
公共の下水道管が復旧していても使えないことも
珠洲市の町にある「つばき保育園」では、2024年3月に断水が解消し、全ての蛇口から水が出るようになりました。近くを通る公共の下水道管も復旧しています。 つばき保育園 加護清美園長: 「トイレはまだ排水ができないので、簡易トイレを使って対応しています。袋の中にオムツを入れて、そこで排泄をして捨てています。セットを作っておくことも仕事の1つになっていて、使用後は1回ずつ袋を縛らなければいけません」 つばき保育園では現在も、一部のトイレや手洗い場で水を流せない状態が続いています。
台所やトイレなどから出る生活雑排水は、「宅内配管」と呼ばれる敷地内の排水管を通り、公共の下水道管に流れています。しかし、つばき保育園は地震によって宅内配管の一部が破損。水を流すと漏水が起きるため排水ができません。
宅内配管を管理するのは行政ではなく個人です。工事をする場合は、独自に業者に依頼するしかないのです。園によると、修理を依頼した業者は他の工事が立て込み、宅内配管には取りかかることができていないといいます。 つばき保育園 加護さん: 「下水の排水ができれば、保育や子どもたちの動きも変わります。できるだけ早く工事が完了するといいな、と思っています」