バルセロナがレアル・マドリードに大勝 林陵平がクラシコの勝負の分かれ目を徹底解説
【レアル・マドリードはバルセロナの背後を狙った】 レアル・マドリードの前半のゲームプランは、すごくはまっていました。守備では前から相手を捕まえにいきました。センターバック(CB)のふたりには、ヴィニシウス・ジュニオールとキリアン・エムバペ。両SBにはベリンガムとカマビンガ。マルク・カサドとペドリのところもチュアメニとバルベルデというように、マンツーマン気味に前からついていきました。これがかなりうまくはまりました。 攻撃時は、バルセロナが最終ラインをかなり高くするので、ボールを保持した時には、やはりその背後を突く長いボールが多かったです。これに対してエムバペが何度も飛び出してのチャンスシーンが多かったんですが、オフサイドが多かった。 29分には、これもレアル・マドリードの狙いだったのかなというシーンなんですが、エデル・ミリトンが後方でボールを持った時に、右サイドでベリンガムが少し内側に入り、大外のスペースにルーカス・バスケスがあがりました。そこにミリトンからロングボールが入り、ルーカス・バスケスからのパスを相手の裏に抜け出したエムバペがループシュート。しかし、これもギリギリでオフサイドでした。 レアル・マドリードとしては、この前半に点を取れなかったのが痛かった。またバルセロナはこれだけギリギリの攻防がありながら、このハイラインを保てるところに凄まじさを感じました。
【バルセロナは後半出場のフレンキー・デ・ヨングが大きかった】 後半、バルセロナはフェルミン・ロペスに代えて、フレンキー・デ・ヨングを入れてきました。デ・ヨングがピボーテ(ボランチ)に入り、ペドリを1列前に出しました。 これでバルセロナの何が変わったかというと、ボールを保持する時間です。デ・ヨングがかなりボールを引き受けてターンするなど、プレス回避のところで個人で時間を作れるようになったのが大きかった。 こうなると、レアル・マドリードはハイプレスにいきたくてもいけなくなる状況が生まれます。バルセロナは全体のラインを押し上げられて、やりたいことができるようになり、流れが変わりました。 そうしたなか、54分、バルセロナに先制点が生まれました。中盤でカサドがボールを持って前を向いた時に、ロベルト・レバンドフスキが相手の最終ラインの背後をとり、スルーパスを受けて決めました。この時、前線中央にはペドリとラフィーニャがいて、レアル・マドリードの2CBがこれについていた。レバンドフスキの飛び出しについていた右SBのルーカス・バスケスはオフサイドをとろうと動きを止めましたが、左SBのメンディが少し残っていました。 このシーンを見ると、DFラインを揃えて上げるというのは簡単なようでそうではないと感じます。CBがラインを上げても、SBの選手は相手のウイングの位置に結構引っ張られて残ってしまいがちなんです。バルセロナはラインを揃えて上げられていましたが、レアル・マドリードはそうではなかった。 バルセロナは56分に2点目と畳みかけましたが、このシーンでも中盤でデ・ヨングが一度前後のパス交換で相手を食いつかせてから空いた左奥へパス。そこにバルデが走り込み、クロスからレバンドフスキがヘディングシュートを決めました。ここにもデ・ヨングの才能をすごく感じました。