異国の店主と土地の味/ロシア料理店『アンナズキッチン』
土井 独立までの時間が比較的短くて、決断が早いですね。何かきっかけがあったんですか?
ヴラッド ロシア料理とウズベキスタン料理のポップアップを2週間限定で独立前に開催したことがあったのですが、お客さんが600人以上も来てくれて、僕の料理に興味を持ってもらえたことが自信になったんです。日本人好みに寄せたわけではないのに、日本人の舌に合う優しい味だねとも言っていただけて。
土井 たしかに、塩気とかスパイスが強く効いたものではなく、日本人がどこか懐かしく感じる丁寧で素朴な味がします。ロシアはとにかく面積が広いですが、地域によって味や使う食材、調理法などは結構変わるんですか?
土井 たしかに、塩気とかスパイスが強く効いたものではなく、日本人がどこか懐かしく感じる丁寧で素朴な味がします。ロシアはとにかく面積が広いですが、地域によって味や使う食材、調理法などは結構変わるんですか?
ヴラッド ボルシチは特に地域性がありますね。たとえば、モスクワならジャガイモを入れるのに対して、極東の方だとジャガイモではなく豆類が入るとか。うちのお店では、僕が家で食べてたものと、勤めてた『カフェロシア』のものとがミックスされたようなレシピなので特定の地域の味ではないですが。あと、ここ最近議論されるのは、上に添えらえるのがサワークリームかマヨネーズか。これはもう戦い(笑)。マヨネーズは90年代頃から流行り始めたから、マヨネーズの方がイマドキな感じですね。
土井 語り出したら止まらなそうな戦いですね(笑)。『アンナズキッチン』は、ロシア以外にもジョージアとウズベキスタンの料理も食べられるみたいですが、どうしてその3つを合わせたんですか?
ヴラッド ジョージア料理は勤めていた『カフェロシア』で作っていましたし、ウズベキスタン料理は実はロシアですごくポピュラーなので。ウズベキスタンは旧ソ連でもあるので、文化も近いですしね。
土井 お店のスタッフは、みなさんロシアの方でしょうか?