「45歳を過ぎて産まない人生に踏ん切りがついた」女優・川上麻衣子が思い悩んだ「子を持つこと」と「自分のやりたいこと」
その後は、「自分のやりたいこと」に集中できるようになっていきました。50歳の誕生日には、「自分のお店を開こう」という気持ちになって、東京・谷中の街に、自身がデザインするガラスやスウェーデンの暮らしのデザインを中心としたセレクトショップ「SWEDEN GRACE」をオープンしました。
■10代の頃から身近にいた「猫」のための活動をスタート ── 52歳の時に一般社団法人「ねこと今日」を立ち上げましたが、当時の思いや設立時のエピソードをお聞かせください。
川上さん:50代に入って「自分の得てきた経験を社会に役立てたい」と考えるようになり、一番身近な存在の「猫」のための活動をしてみようと思い至ったんです。私は、ひとり暮らしを始めた18歳の頃から、猫と一緒に生活し、これまで5匹を看取り、今は2匹の猫と暮らしています。「人と猫の共生を考える」というテーマのもと、心地よく猫と暮らすための情報発信をしようと決意し、2018年に「ねこと今日」を設立しました。
── 保護猫の譲渡会も定期的に開催されていますね。 川上さん:現在は、1か月に2回のペースで譲渡会を開催しています。「ねこと今日」の設立時、サロンも開設して講座やイベントの開催を予定していたのですが、同じタイミングでコロナ禍に突入してしまって。対面での開催を諦め、リモートで活動を進めていた時、保護猫のボランティア団体から「サロンで譲渡会をやらせてほしい」という申し出を受けました。その後、感染予防対策をとりながら譲渡会を定期開催するように。現在までに、約1000匹の保護猫に、新しい家族とのご縁を繋ぐことができました。
コロナ禍では、私自身、子猫を一時的に預かって育てる「ミルクボランティア」を行い、3匹の子猫を育てました。今は、3匹とも引き取ってくださる里親さんが見つかりひと安心しています。たまに写真を送ってきてくださるのですが、3匹とも元気に過ごしているようです。今後も、猫と人が共生できる環境づくりのための情報発信や活動を続けていきたいと考えています。 PROFILE 川上麻衣子さん 女優。1966年、スウェーデン・ストックホルムで生まれ、幼少期はスウェーデンと日本を行き来する。1980年にデビューして以降、ドラマや映画、舞台など幅広く活躍。20代で吹きガラスを始め、現在ではガラスデザイナーとして隔年で個展を開催。2016年に台東区谷中にスウェーデン暮らしのデザインを中心としたセレクトショップ「SWEDEN GRACE」をオープン。2018年に一般社団法人「ねこと今日」を立ち上げ、イベントや譲渡会を開催している。 取材・文/佐藤有香 画像提供/川上麻衣子
佐藤有香