楽天・松井裕樹に死角はないのか?
楽天のドラフト1位、松井裕樹のデビュー戦は、ここまでの調整具合からすると4月1日からの本拠地仙台、オリックス戦との3連戦のカードが決定的だ。高校出身ルーキーながら開幕ローテーション入りを射止めた。直球は150キロをマーク。2種類あるスライダーと、チェンジアップに、ここまでプロの名だたる打者をきりきり舞いさせている。スーパールーキーは、この勢いのまま成功するのか、それとも死角があるのか。 ■松井は藤浪、大谷級の即戦力 元中日OBで解説者の与田剛さんは、「直球の力だけでなくスライダーにも落差がある。彼のピッチングをしっかりと追跡したわけでないので、いい加減な勝ち星予想はできませんが、気持ちを前面に出すし、実戦で力を出すタイプであることもわかります。上背がないから、ボールの角度を問題にする人もいますが、関係はないと思います。最近では、あれだけ上から投げてくるピッチャーはいない。藤浪、大谷級の即戦力でしょう」と見ている。 ■侍ジャパンスコアラーは2桁勝利を予想 元侍ジャパン、阪神で、チーフスコアラーだった三宅博さんは、岡山県の倉敷キャンプで松井を数日間、直接、チェックしてきたが、ハッキリと2桁勝利を予想する。 「10勝はできると思う。ついつい、同じ高卒ルーキーの阪神の藤浪晋太郎と比べてしまうが、ストレート、スライダー、チェンジアップ、ひとつひとつのボールの球威と質、コントロールの精度についても、松井が藤浪の去年を上回っていると思う。そして、彼の特徴は、ストレートと、2つの変化球の腕の振りが、ほとんど違わないこと。しかも、リリースのギリギリまで腕が隠れてくる。これはプロで成功する条件。スライダーは、ストレートと同じ腕の振りと軌道から膝元に落ちてくるので打者は“消える”という感覚を抱くのではないか。右打者対策が必要になってくるが、落ちる角度の違うチェンジアップが有効で、そうは苦にしないだろう」 三宅さんは、楽天の佐藤投手コーチからは、「ハートが強い。練習への取り組む姿勢が素晴らしく、高校生のわりに下半身がしっかりしている」と説明されたらしい。体の軸が流れるという悪い癖があったらしいが、その矯正をしても下半身のバランスが崩れることもなかったという。