気象庁・東京都 土砂災害警戒情報を新基準に変更 精度向上“空振り”減らす
気象庁と東京都は5月31日午後1時より、土砂災害警戒情報を発表する際の判断基準を変更しました。同情報を発表したにもかかわらず、実際は土砂災害が起きない“空振り”を減らし、区市町村の防災対応をより効果的に支援するのが目的です。
新基準は最新の土砂災害時の雨量データを追加 発表件数は半減する予想
土砂災害警戒情報とは、大雨警報が発表されている状況で、土砂災害発生の危険度が高まったときに、対象となる市区町村に警戒を呼びかける情報です。都道府県と気象庁が共同で発表しており、都では2008年に始まりました。 発表する際の判断基準は、過去の土砂災害時の積算雨量(60分間)と、土壌にたまった水分量を指数化した土壌雨量指数による雨量データから定めています。この情報が出ると対象区域などの住民に自主避難が呼びかけられます。そのため、防災機関や住民に情報が届いて避難できるまでの時間を考え、2時間後までに判断基準に達すると予想した場合に発表してきました。しかし、実際には、同情報を出しても、災害が起きないケースがあり、「もっと精度を高めてほしい」との声が都に寄せられていました。 そこで、今回の基準変更では、1991年から2015年までの土砂災害時の雨量データなどを加えて、予想精度を高めました。これにより、都は年平均6回だった発表件数が、今後は3回程度に減ると予想。発表のタイミングや避難対象地区の絞り込みが従来よりも的確になる、とみています。気象庁では、「“空振り”が減ることによって、区市町村の防災対応や住民の自主的な避難をより効果的に支援できる」としています。 (取材・文:具志堅浩二)