プーチン大統領がウクライナ侵攻に至った「被害者意識」
ジャーナリストの須田慎一郎が3月18日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。プーチン大統領が圧勝したロシア大統領選について解説した。
ロシア大統領選、プーチン大統領が圧勝
ロシア大統領選挙は3月17日夜に投票が締め切られ、過去最高の得票率でプーチン大統領が圧勝した。これでプーチン氏は通算5期目の当選となる。 飯田)プーチン氏はモスクワの選挙対策本部で「国民が寄せてくれた信頼に感謝する」と述べ、大統領選での勝利を宣言しました。 須田)大統領選挙で勝つのは既定路線ですから、驚く結果ではありません。ただ、大統領選挙の当選を受けて今後どう展開するのか。加えて、ウクライナ侵攻でもロシア軍の優勢が伝えられており、ウクライナ軍は厳しい状況になっています。ロシア経済がそれを支えているわけですが、当初、西側諸国が目論んだようなロシア経済を疲弊させる戦略、場合によっては崩壊させるという基本的な戦略が実現できていない。そこに至らなかったことが最大のミスではないでしょうか。 飯田)戦費の調達も含め、エネルギー価格は上がったままですが、ロシアにとっては都合がいいのですよね?
経済封鎖によってロシア経済を追い込むことができなかった2つの理由
須田)2つ理由があると思います。1つは、かつての米ソ冷戦時代と違い、現代は完全な経済封鎖ができない。ロシア経済と西側経済は密接に絡み合っているため、完全な分離は不可能だった。もう1つは、アメリカ・ヨーロッパ・日本など西側が結束してみたところで、例えば第三世界を含め、ロシアとの関係を従来通り続ける国々がかなり多かったのです。その2つが、西側の経済封鎖が失敗に終わった大きな理由だと思います。 飯田)よく中国・インドの存在が話に出ます。G20などでもその辺りが割れて、声明も出せない状態ですよね。 須田)世界は間違いなく多極化しているのです。全世界のGDPの6~7割をG7諸国が占めている時代であれば、経済封鎖も大きな意味があったけれど、いまはG7諸国の比率が下がって5割を切るような状況です。いくら先進国が経済封鎖したところで、実体経済に大きな影響を与えられないことが明らかになったのだと思います。