「手錠をかけた中1少女」を高速道路に放置した中学校教師の非道【平成の凶悪事件】
獲物をあさる
どす黒い欲望の膨張を抑えきれなくなった福沢が、休暇願を学校に提出し、ツーショットダイヤルを通じて、いよいよ獲物をあさり出した時に今回の事件は起きたのだ。 「その餌食となったのが12歳の中1少女、洋子さんだったわけです」(地元記者) 生前の彼女が住んでいた近所の住人はこう言う。 「普段の洋子ちゃんは、笑顔のかわいい甘えん坊の女の子だった。そんな子がテレクラ遊びにはまってしまったのも、先輩と称する仲間たちの手引きがあったからなのです」 この先輩少女たちは自分も中学生の身でありながら、テレクラへの電話のかけ方から援助交際のやり方、男から逃げる方法などを懇切丁寧に、洋子さんに教え込んだのだ。 そして、事件のあった夜も彼女は、先輩たちと一緒に“カモ”を求めて、ツーショット遊びに興じていたのである。 「午後8時10分ごろでした。3日前に母親から買ってもらったばかりの洋子ちゃんの携帯電話が鳴り、“これからテレクラで知り合った男と会ってくるわ”と言って、彼女は自転車でJR吹田駅の方に向かったのです」(先輩少女)
遊びで手錠?
JR吹田駅前で洋子さんを待ち構えていたのが、福沢だった。そして高額の援助交際をチラつかせながら巧みに車内に誘い込んだ彼は、二人で中国自動車道を走りながら、ビデオで見たようなプレイを切り出したらしいのである。兵庫県警のある幹部氏がこう漏らす。 「彼によれば、“この話に恐慌をきたした彼女が、大声で私をののしり、車内で騒ぎ出したので、私はあわてて手錠をかけました”ということだが……。12歳の少女を相手に、SMまがいの遊びを持ちかける大人がどこにいる?」 しかし福沢にとっては、洋子さんは格好のプレイ相手に思えたに違いない。それから2時間近くにわたって、懸命に口説き続けたようなのだ。 「それでも言うことを聞かなかったので、福沢はキレたんだな。彼は“勝手にしろ”と、彼女を車外に置き去って逃げてしまうのだが……。両手に手錠をかけられて高速道路に放置された時の彼女の姿は、彼らの後ろを走ってきたトラックの運転手が発見している。そして車を止めて確認しようとした彼の目の前で、そのまた後続のトラックが彼女をひいてしまったというんだ」 午後10時半ごろの出来事だった。ひき逃げされた洋子さんは、110番通報で駆け付けた救急車で病院に運ばれたが、手遅れだった。頭蓋骨骨折による脳挫傷と大腿部の複雑骨折が幼い命を奪ったのだ。 *** 逮捕監禁致死ではなく殺人罪ではないか、といった声も上がったが、のちに洋子さんが福沢から逃れるために車から飛び降りたとされ、結局、容疑は逮捕監禁致死のままとなった。 公判(大阪高裁)で裁判長は、彼女が自らの意思でテレクラを利用していたこと、さらに「中学教師だからといって格別に厳しく罰することはできない」といった理由を挙げて、福沢に「懲役6年」の判決を下した。これは検察側の求刑(12年)を大きく下回るものだった。 まるで被害者である少女にも落ち度があるかのような物言いの判決には、批判も集まったが、覆ることはなかった。 デイリー新潮編集部
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