「推しについて語りたい!」とき「やばい!」以外で“自分の言葉”を使うコツ 「好き」の言語化に重要なことは?
アイドルや声優、バンド、YouTuber。アニメや漫画、本、舞台……。人によって「推し」の対象はさまざまですが、「推しについて誰かに語りたい!」「推しの魅力をみんなに知ってほしい!」と思う気持ちは同じ。しかし、いざ語ろうと思っても「やばい!」という言葉しかでてこない、という人も多いのでは。 そこで自身もアイドルと宝塚が「推し」だという書評家・三宅香帆さんの著書『「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』から一部を抜粋・再編集し、「推し語り」のコツを3回にわたってご紹介。初回の本記事では「推しを語る前の準備」についてです。 【グラフ】中高年も4人に1人は「推し」がいる、という調査結果も
■なんのために「推し」を言語化するの? 「推しの素晴らしさを伝える文章」を書こう……! そう気合を入れて、ファンレターを書くための便箋を買ってみたり、SNSアカウントを増やしてみたり、ブログを開設してみたりしたはいいけれど。そのあと、あなたはなにをしますか? 「よし、最近めちゃくちゃよかったライブの感想を書くぞ」と思ったとします。 なにから書こうか? うっ、書くことが思いつかない。「よかった」しか言葉がでてこない。
じゃあ、セットリストの素晴らしさを書く? すごく聴きたかった曲が聴けたことについて? あ、それともMCのよさ? 推しの衣装について? ああ、なにから書こう。 というか、あのライブの一番よかったところってどこなんだろう? 私は「推しの素晴らしさを言語化しようとしても、語彙力がなくて、いい言葉が思い浮かびません」と相談されることがたまにあります。 じつは私も同じで、すぐには言葉がでてきません。「推しの素晴らしさを伝える文章」を書きたいと思うとき、大抵まずは頭の中がわーっと騒がしくなっています。
推しの魅力とか、簡単に言葉にできない。「最高だった」「やばかった」「すごかった」しか浮かばない。「推しを見て感動した」、その先が言語化できない。 でも、私はその状態が悪いことだとはまったく思いません。なぜなら、感動が脳内ですぐに言語に変換されないのは当たり前のことなんです。 だって、感動とは言葉にならない感情のことを指すから。 ■昔の人も「やばい!」を使っていた! 古語に「あはれなり」という言葉があります。