【毎日書評】「こんなはずじゃなかった」を回避せよ。フリーランスメリットとデメリット
時間を自分でコントロールできる
フリーランスになる最大のメリットは、時間を自分でコントロールできること。フリーランスとして働いていれば、自分の好きなときに好きな分だけ仕事ができるわけです。 会社に勤務している場合は始業時刻と就業時刻が決まっており、同僚や上司、取引先の都合によって自分のペースが乱されることもしばしば。そのため、4時間で終えられる仕事にその倍の時間がかかってしまうようなことも考えられます。 一方、フリーランスなら4時間集中すれば終わる仕事を、きっちり4時間で終わらせることが可能。浮いた時間を好きなように使えるので、自分のスキルや知識をさらに向上させて、収入をアップすることを目指してもいいでしょう。あるいは、家族と過ごす時間を増やしてプライベートを充実させるという選択肢もあります。 実際、第一線で活躍しているフリーランスの方々の多くは、仕事につながる勉強に余念がありません。コピーライターだった私も、いろんなジャンルの本を読んで知識を増やしたり、最新の流行を分析・研究したりしたものです。(26ページより) そういう意味で、時間を自分でコントロールできることこそがフリーランスの最大のメリットなのです。そしてそれは、うまくいけば会社員時代よりも「時給が高くなる」ということを意味するのだと著者は述べています。 報酬が同じであるなら、集中して4時間で仕事を終わらせた場合の時給と、集中できずに8時間かかってしまった場合を比較するまでもないわけです。(25ページより)
サラリーマンよりも経済的に不安定
一方、フリーランスには「経済的な不安定さ」というデメリットがあります。収入が安定しないことにはさまざまな理由がありますが、大きな要因のひとつが「元請けの支払いが滞る」こと。 フリーランスはクライアントである元請けの会社(または個人)から仕事を請負い、その仕事に対する報酬を支払ってもらうかたちで生活をすることになります。もちろん、なんの停滞もなく支払いがされれば問題はありませんが、たとえばクライアントが倒産してしまったとしたら、未払いの報酬を支払ってもらえなくなる危険も。 納期に合わせてきちんと仕事をしたのに、なにも手に入れられないということが起きてしまうことも考えられるわけです。 もちろんそれは最悪のケースですが、倒産まではいかないものの、クライアントの経営状況が悪化して支払いが先延ばしされたり、事業計画が変更されて今後の取引がなくなったりすることもあり得ます。 そうでなくとも、フリーランスに対するクライアントからの支払い時期は、企業によってさまざま。納品後すぐに支払ってくれる企業もあれば、入金は2ヵ月後ということもあるのです。そのため、自分が働いた時期と、その報酬をもらえる時期がズレる場合があるため、あらかじめ筋道を立てておかないと生活が困難になるわけです。 加えて、経済的な不安定さがあるフリーランスには「ローンが組みにくい」「クレジットカードをつくりにくい」などのデメリットも。残念ながら日本ではまだフリーランスの社会的信用が低いので、平均的な会社員の数倍の収入を得ていたとしても、住宅ローンが組めなかったりするのです。 そればかりか、賃貸物件を契約する場合に確定申告書の提出や保証人を求められるというようなケースもあります。 そのため、住宅ローンの審査や賃貸物件の引っ越しは、本業フリーランスになってからするのではなく、会社員でいるうちに済ませたほうがよいでしょう。 さらに、有給休暇がある会社員とは異なり、フリーランスには「病気や怪我をしてしまうと収入が絶たれる」というデメリットもあります。(29ページより) フリーランスは自分のスキルや知識を活かすことで仕事を請負い、生活することが可能。しかし病気や怪我のせいで仕事ができなくなってしまうと、簡単に収入がゼロになってしまうのです。また、健康でいられたとしても、年齢を重ねていけばそれだけ体力は衰えていきます。そのため、若いころと同じ働き方をずっと続けていくのは困難であるという事情も絡んでくるわけです。(27ページより) ただし、どこかで踏ん切りをつけなければ、いつまで経っても立ち止まったまま。そのため、もしフリーランスになりたいという思いがあるのであれば、メリットとデメリットについて熟考し、最良の手段とタイミングを見つけ出す必要があるのです。 これからフリーランスとして働こうと考えている人、会社に勤めながら副業としてフリーランスをしている人、すでに本業としてフリーランスをしている人にも対応した一冊。いまの自分がいるステージにあてはまる章から読み進めることもできるので、なにかと役立ってくれそうです。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: フォレスト出版
印南敦史