フィギュアスケート鍵山優真が描く、完全復活への道 疲労骨折、父との衝突、ミラノ五輪への思い… イタリアと日本で語った20歳の本音
けがの功名もあった。長期離脱は、自らに足りなかった部分を見つめ直すきっかけになった。 「栄養、睡眠が足りていなかった。その二つだけでも大きな違いが出てくる。そこを改善してから、一気に自分の体の感覚が良くなった。今までは体の調子がいい日と悪い日があったが、そこが安定してくるようになって、調子がいい日が続くようになった」 昨年11月から定期的に栄養士に相談し、体の状態を確かめている。「採血で、例えばビタミンDや亜鉛が足りないと分かった。何を食べればいいかや、日光を浴びればいいという話も(専門家から)教えてもらった。今はそういうところを意識しながら、時間があるときは(体づくりの)勉強もしながら過ごしている。もう絶対にけがをしない体になっていけたらいい」 ▽全日本からの成長を 代表入りがかなわなかった世界選手権では、複数種類の4回転ジャンプと表現力を両立させた宇野が日本男子初の2連覇に輝いた。世界の頂点を極めるには、総合力の重要性を再確認させられる大会だった。
「フィギュアスケートは芸術性も求められる。4回転を入れるのも難しいので(技術と表現の)どちらかに偏りがちだが、そこを両立させた人が上に行く。(復帰後はジャッジや観客の目に)芸術作品のように映るプログラムを演じたい。来シーズンの最初から100%うまくいくわけではないと思うが、その時やれるレベルで100%を出して、どんどんレベルアップさせていけたらいい」 ジャンプで「いつでも4回転が跳べる状態になりつつある」と足首は順調に回復。今月にはSPを滑り込むため渡米し、新シーズンに備える。 「今季のプログラムはお気に入り。次にお客さんの前で自分のプログラムを見せた時に(今季とは)全然違う、万全な時の鍵山優真の演技はこんなにすごいんだっていうのを見せたい。全日本からの成長を見せたい」 フィギュアスケートの個人種目で、日本勢史上最年少メダリストとなった北京五輪の歓喜も、通過点に過ぎない。完全復活を予感させる、力強い宣言も飛び出した。
「変わらず、ミラノ(・コルティナダンペッツォ五輪)に出たい思いはある。北京五輪で2位を取ったが、2位では終われない。その上をみんな目指している。金メダルを取るだけではなく、しっかりとプログラムを完成させて、ノーミスの演技をして優勝したい思いは強い」