1時間23分の真夜中の異例引退会見でイチローは何を語ったか?(1)
――今日の試合。涙なきプレーの理由は? 「これも純粋に楽しいということではない。誰かの思いを背負うということは、それなりに重いことなので、そうやって1打席、1打席立つことは簡単ではない。すごく疲れた。ヒットを打ちたかったし、応えたかった。僕のことを感情がないと思っている人がいるみたいだが、意外とあるんです(笑)。結果を出して最後を迎えられれば一番いいと思っていたが、それが叶わなかった。それでも、あんなにたくさんの人が球場に残ってくれて……もちろん死なないですが、死んでもいいというのは、こういう気持ち、こういうときなのかなと思った」 ――50歳まで現役と言っていた。日本でプレーする選択肢はなかったのか? 「なかったです」 ――どうして? 「それはここでは言えないなあ(笑)。最低50歳までと本当に思っていた。それが叶わず有言不実行の男になってしまったが、その表現をしてないと、ここまでできなかったと思う。難しいかもしれないが、言葉にして表現することが目標に近づくひとつの方法」 ――これから野球に費やしてきた時間をどう使うか? 「今はわからない。たぶん明日もトレーニングしている。じっとしていられないので動きまわっている。ゆっくりしたい、とか全然ない」 ――監督、指導者、今後は何になる? 「何になるんだろうね。そもそもカタカナのイチローってどうなんですか。元イチローとかになるんですか? 元イチロー変ですよね。だって僕イチローだから。どうしようか。 ただ監督は絶対無理。人望がない。プロの世界というより、アマとプロの壁が特殊な形で存在している。今までややこしいじゃないですか。極端な話。自分に子供がいたとして、高校生であるとすれば教えられなかったりするルールは、変な感じがする。今日をもって元イチローになるので、小さな子供か中学生か、高校生か、大学生かわからないが、そこには(教えることには)興味はある」 (イチローは会見で何を語ったか(2)へ)