ユーカリ植樹に賛否 町の狙いは『放置される森林を買い取り...早く育つユーカリ植えて建材や燃料に』一方で住民は『全国で杉やヒノキは失敗』『生態系への影響は?』
佐用町は2009年に大規模な土砂災害を経験。森林が放置され続けると防災上のリスクも高まります。こうした背景もあって、町は希望する住民から森林を買い取り、ユーカリを植え、建材やバイオマス燃料などとして活用しようとしているのです。
早く伐採できるユーカリで経済性を高めながら森林整備を進める。この計画に林業を営む人からは歓迎の声が。 (林業家 石堂則本さん)「(後ろにある)樹齢120年の木は私の4代前、明治の中期ごろに植えたものです。それが今やっと伐採できる。ユーカリは大体20年で伐採できる。その魅力はたしかに大きい」
有害物質を出して“他の植物を寄せ付けない”特徴を持つ品種も
一方で木村さんは外来種であるユーカリを植えることによる生態系への影響を心配します。 (木村英さん)「今まで何とかつなぎとめていた生物の多様性がだんだんと少なくなっていくのではないかと懸念しているわけです。失われたものは二度と戻ってきません」 絶滅危惧種に指定されるタガメや、特別天然記念物のオオサンショウウオなどが生息する豊かな生態系が形成されている佐用町。 植物学の専門家である神戸大学人間発達環境学研究科の武田義明名誉教授もその影響を懸念します。 (神戸大学 武田義明名誉教授)「(一部の)ユーカリは『アレロパシー』という、根から有害物質を出して他の植物を寄せ付けない特徴を持つと言われているので、もしそういうことがあると他の植物が入ってこないので、かなり生態系への影響は大きいと思います」 こうした声に耳を傾けてほしい。木村さんらは2月13日、計画に反対する署名1145人分を集めて議会に提出しました。 (署名を提出する木村さん)「たくさんの人の賛同がありましたので、ぜひこの言葉も聞いていただければと思います。よろしくお願いします」 計画を不安視する声が少なくない中、佐用町はどう受け止めているのでしょうか。
(佐用町・農林振興課 井土達也課長)「ユーカリは600~900の種類があると言われていますので、その中で毒素が強いもの低いものいろいろあると思うんです。我々が考えている樹種の中では今の段階でそういう懸念はない。危惧や心配はいらないと判断しています」