Yahoo!ニュース

若手人材の獲得は福利厚生の充実がカギ! 中小企業へ年間最大300万円の「東京しごと財団」助成金

提供:公益財団法人東京しごと財団

最終更新:

慢性的な人手不足に悩む中小企業が増えるなか、新たな人材の獲得や定着に向けて、「社員満足度(ES:Employee Satisfaction)」の向上を目指す動きが活発化している。ESの向上には、社員が利用しやすい福利厚生を導入することがいちばんの近道とされる。昨今の若手人材は、就職先の判断材料として、会社の福利厚生の充実ぶりに注目している。福利厚生によって社員の満足度を高めている会社ほど、若手人材の厳しい獲得競争に勝ち抜く「採用力」を得られると言えるだろう。

若い世代ほど「会社選びに福利厚生を重視」

労働政策研究・研修機構の調査では、勤め先を選ぶときに福利厚生制度を重視した割合が、20歳代では52.6%と半数を超えた。また、就職情報会社キャリタスの調査では、就活生が就職先候補として判断するために知りたい情報として一番に上がったのが「福利厚生」で、63.8%となっている。若い世代は、企業の福利厚生の充実度から、自身のワーク・ライフ・バランスが実現できるかどうかを判断している様子がデータからうかがえる。

中小企業には導入の初期費用がネックだが...

若手社員の確保・定着に向けて、福利厚生を充実していくことの大切さは、理解していただけたと思う。福利厚生を手厚くできれば、他の企業との差別化ができ、求職者から選ばれる可能性が高まるだろう。しかし、一定の費用が掛かることがネックとなる。

ところで、中小企業の経営者や人事担当の皆さまで、以下のケースに当てはまる人はいらっしゃるだろうか。

A社長:町工場で若手技術者を求めているが、採用に至らない。就活生には「借上げ住宅」が人気と聞いたが、導入にかかる費用が心配だ...。

※イメージ

B社長:苦労して採用活動を行い、若手が入社してくれた。近くにコンビニもないので、これを機に「置き型コンビニ」を導入すれば、仕事の合間に食事や軽食も楽しめるし、社内の雰囲気が良くなって、長く働いてくれるのでは...。

C社長:わが社の周りには飲食店が少ないので、栄養バランスのよいお弁当の定期配達を頼んで、会社も一部負担すれば、地方から上京する新入社員の採用活動の時のPRになるかもしれない。

※イメージ

D社長:うちの仕事はデスクワークがメインなので、社員の息抜きと運動不足解消のために、職場で希望者全員が参加できるフィットネス講座を定期的に開催したい。

※イメージ

投入できるコストやリソースが限られる中小企業は、大企業のように福利厚生を充実させることは簡単ではないだろう。しかし、もし公的な助成金を上手に活用できれば、初期費用を抑えつつ、福利厚生を導入することができる。

東京しごと財団が福利厚生導入を後押し

都内の中小企業等を対象に、福利厚生の導入をしっかりサポートしてくれるのが、東京しごと財団が募集している「ES(社員満足度)向上による若手人材確保・定着事業助成金」だ。社員の住宅・食事・健康に関する福利厚生を充実させることで、社員満足度向上を図る取組を補助する制度で、若手人材の採用・定着を図る中小企業等を支援することを目的としている。

ES(社員満足度)向上による若手人材確保・定着事業助成金

支援の対象となる事業者は、以下の条件全てを満たす、若手の人材確保に課題を抱える都内の中小企業等となっている。

対象となる取組は、①35歳未満の若手従業員を対象とした住宅の借上げ、②職場での食事等の提供、③健康増進を目的としたサービスの提供、の3つで、このうち2つ以上の取組を新たに実施した際にかかった経費の2分の1について、①で最大200万円/年、②と③はそれぞれ最大50万円/年まで助成される。1年ごとに申請手続を行うことで、最長3年間助成を受けることができる。

「住宅」「食事」「健康」いずれの分野でも、助成率を50%としている点に特徴がある。会社側は少なくとも費用の半分は負担する必要があり、会社側の「本気度」が問われるわけだ。

3つの取組を具体的に見ていこう。

【住宅の借上げ】

都内中小企業等が賃貸契約したマンションなどを社宅として35歳未満の若手社員に新たに提供した場合に助成される。ただし、企業が家賃の50%以上を負担することが条件だ。例えば、従業員が家賃を50%負担する場合なら、家賃が月8万円のマンションでは、従業員が月4万円で、企業は月4万円の負担のうち、2分の1にあたる月2万円が実質的な負担となる。

若手社員が給料から家賃を負担することは楽ではなく、企業が家賃を補助してくれることで生活に金銭的な余裕ができるため、社員の満足度は高くなるだろう。

【食事等の提供】

都内中小企業等が、以下の分類に当てはまる取組について新たに実施する場合に助成される。具体例は以下の通り。

例えば、ウォーターサーバーやコーヒーマシンなどを休憩スペースに設置した場合、「休息して気分転換できるので、新しいアイデアが浮かびやすい」「社員同士のコミュニケーションが広がり、社内の雰囲気が良くなる」などの効果も期待できる。若手人材獲得に向けてはワーク・ライフ・バランスの観点から「仕事と休憩のメリハリをつけられる、働きやすそうな社風」が大きなアピールポイントになるだろう。

※イメージ

【健康増進サービスの提供】

都内中小企業等が、以下の分類に当てはまる取組について新たに実施する場合に助成される。具体例は以下の通り。

これまでの事例としては、職場で開催するフィットネス講座や栄養学講座、法定外項目にかかる健康診断として「腫瘍マーカー検査」、職場に設置するランニングマシンの導入などに助成金が活用されている。

中小企業の「やる気」を専門家がサポート

この助成金のもう1つの特徴は、社員満足度向上のノウハウを持つ専門家のアドバイスが無料で得られることだ。企業単独でいざ、福利厚生を充実させようとしても、社員が喜んで使ってくれなければ意味がない。

そこで、この助成金では、最初に、若手人材の採用・定着や福利厚生等に関する知見を持つ専門家を最大3回無料で派遣してくれることになっている。企業の個別の課題に対して親身にアドバイスし、助成金を上手に活用しながら運営していける福利厚生の取組計画の作成を専門家がサポートしてくれるので、助成金の申請に慣れていない中小企業も安心だ。

今年度の事前エントリーは11月15日まで受付中

申請には、まず東京しごと財団ホームページからの事前エントリーが必要だ。現在、第6回の事前エントリー受付が始まっている(期限は2024年11月15日(金)17時)。

同財団では「社員が利用しやすい福利厚生を導入できるチャンスなので、若手人材の確保に悩む都内の中小企業に活用してもらいたい」(雇用環境整備課)とエントリーを呼び掛けている。