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切削加工を手がける中小・零細企業の利便性を追求、工具調達に新たな選択を

提供:さくさく株式会社

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素材を切り、削って目的の形にする「切削加工」。この加工に用いられる工具を「切削工具」という。一般的にはDIY用のミニルーターに取り付ける金属製の工具がイメージしやすいかもしれない。切削工具は中小・零細企業から大企業まで金属を加工する現場に欠かせないもので、加工する素材や形状、使う機械に合わせたさまざまな種類、グレードが市場にあふれている。
2020年10月にオープンしたインターネット通信販売サイト「さくさく」は、こうした製造業向けの切削工具を専門に取り扱う。低価格で高品質な自社プライベートブランド(PB)の工具を豊富に揃え、いつでも、誰でも簡単に購入できる点をアピールする。4月には国内外44メーカー製品の販売をスタートし、商品ラインアップをこれまでの約3000点から約40万点に拡大。切削工具業界内で存在感を高めている。

使いやすさと満足感を提供

商品の個別情報には参考加工条件なども詳しく掲載している

さくさくが目指すのはユーザー目線に立った使いやすさと満足感が得られるシステム。「さくさく」ブランドで展開する自社製品は委託生産ではあるものの、自社のテクニカルセンターで徹底的に試験。性能を十分に確認したものをリーズナブルな価格で提供している。ただPB商品だけで製造現場の要求すべてには応えられない。
そこで4月に国内外メーカーの製品群を追加した。これらは長時間の加工や複雑な加工、ステンレスなど削りにくい素材-いわゆる難削材などにも対応するハイエンドの工具が含まれる。安価で数を消化する加工にはPB商品を、難しい加工にはメーカーブランド品を、と選択肢を充実し「さくさく」の顧客対応力を向上した。

さくさく

切削加工に関わる解説動画も豊富

「さくさく」は切削加工の専門サイトとして加工情報の発信にも力を入れる。加工ノウハウに関する動画コンテンツを充実させており、中小・零細企業が独自に得にくい加工情報を提供する。こうしたコンテンツの差別化によって、さまざまな商品を扱う他の総合通販サイトと一線を画する戦略だ。ネット通販の利用に不慣れなユーザーにも使いやすいサイト設計を構築してきたが、サイトの進化は今も続く。6月には、欲しい工具の形状・寸法などを選択していけばユーザーの要望に合った、カスタマイズされた工具が買える機能も実装する予定だ。

 

既存の商流を荒らさず、共存を目指す

製造現場において工具の選択は生産効率や精度、品質の向上などに大きく影響する。ただ、加工ノウハウは日進月歩。もちろん自社だけで得られるデータには限りがある。このため機械工具を扱う商社、販売店が存在し、現場のニーズを聞いて最適な工具を届ける「フィールドセールス」を展開。手厚いサポートでものづくり企業を支えてきた。「さくさく」のオープンはこの工具市場に波紋を広げた。だが、「さくさく」が目指すのは"共存"。サイトを運営する、さくさく株式会社の澤口典宏社長に目指す姿を聞いた。

狙いを語る澤口典宏社長

――「さくさく」を立ち上げた背景は。
「フィールドセールスは注文の頻度や数量が少ないユーザーから足が遠のきがちだ。中・小規模ユーザー側の目線としても、高い価格で工具を仕入れなければならず、新たな情報を得られる機会も限られていた。現状の切削工具の流通販売では全てのユーザーにアプローチできなかった。誰もがいつでもアクセスできるデータ提供の仕組みが必要だと感じていた」

――ネット通販に反発はありませんでしたか。
「従来の商流が荒れてしまうのではないかと懸念する声が強くあった。しかし、われわれはネットで切削工具市場のすべてを席巻しようとは考えていない。フィールドセールスとの共存を徹底していく」

――どのように実現しますか。
「さくさくは既存の商社や販売店が回りきれていない顧客をターゲットにしている。一方で、切削工具の営業には加工方法や工具を網羅した上での提案力が必要で、ネットで提案できる領域には限界がある。PB商品以外は価格競争に陥るようなこともしない。フィールドセールスがしっかり守っている顧客がネットに流れることはなく、それ以外の顧客に対して最適な提案をできる仕組みにしているので棲み分けられると考えている」

――「さくさく」のネーミングがユニークです。
「切削の"削"を重ねて、さくさく削れる、さくさく使えるという意味を込めている」

加工品質を保ちながら工具コスト3分の1以下に

三木さんは工具の使い方が変わったと話す

「以前と比べて切削工具購入コストが3分の1以下になった」と話すのはアートウインズ・シートメタル(大阪府門真市)製造第Ⅰ課の三木康資さん。同社は板金加工による各種部品の試作を主とし、平面を削る加工などで切削も行っている。試作主体のため加工ロットが少なく、「高価な工具を長く使うより、安価でもフレッシュな状態の工具を使うことで加工品質が高まった」と「さくさく」活用による切削工具調達の効果を実感している。
切削加工を担当する三木さんは日々、「工具のコストを下げる方法はないか」と模索していた。これまで切削工具は同社に出入りする工場用品の販売会社から購入。納期などの無理を聞いてもらえるものの、購入量が少ないため安価で調達することは難しかった。そこで工場用品を総合的に販売するインターネットサイトでの購入も試してみた。確かに安くは買えたものの、求める加工品質が得られなかった。

工具の調達コスト削減にもつながった

そんな折、三木さんの目にとまったのが開設されたばかりの「さくさく」だった。切削工具専門サイトなので、求める工具を選びやすく、「さくさく」の低価格なPB商品が魅力的だった。試作部品の平面加工や溝仕上げに用いるエンドミルを購入して使ってみると、十分な加工品質が得られた。三木さんは「この価格でこの品質が得られるのなら」と、粗加工や仕上げ加工に用いる切削工具の約8割を「さくさく」から購入するようになった。
長寿命の工具が必要な加工や、特殊な性能が求められる難削材の加工などの工具は「さくさく」以外で購入するが、ラインアップが増えたことから更なる活用も検討する。

コンテンツ・デザイン力を高め、サイトの魅力向上

コンテンツを充実させるにつれて、「さくさく」のアクセス数は順調に伸びている。情報発信の一環で掲載しているコンテンツ「切削加工の基礎知識」は大学や大企業の多くに教育的観点から高い評価を受け、人材研修用としても活用されている。2022年3月のアクセス数は前年同月比2倍となり、平均滞在時間も同33%増となった。澤口社長は「情報を得て、ほかで買ってもらってもかまわない」と、まずサイトの認知度を高めることに重点を置く。

スタッフの増員でさらに使いやすいサイトを目指す

さらに今春からデザイナー2人を新たに採用し、外注していたサイトデザインの内製も始めた。自社の考え方が直接デザインに反映できるようにするためだ。「すべてはユーザーのため」と澤口社長。あらゆる角度から機能向上に取り組み、"共存"のためのサイトの役付けを明確にしていく。