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信頼される努力を続ける岐阜県の中古車業界

提供:JU岐阜

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岐阜県内の中古車販売会場

 昨年10月、中古車の販売価格が「支払総額」で表示されることになりました。中古車業界はここ数年、半導体需要の増加、新車の供給不足、原油価格の高騰などに加え、中古車販売大手の不正水増し請求問題など、逆風にさらされてきました。一方で、半導体市場の回復などが見られ、中古車の登録台数の推移は比較的安定し、復調の兆しが見えてきました。岐阜県では新たな動きを追い風にして、安心して中古車を購入できるように、業界を挙げて、信頼性を高める絶え間ない努力が続けられています。

販売価格を「支払総額」表示に統一

 中古車販売価格の「支払総額」表示は、一般社団法人自動車公正取引協議会の規約変更に伴い、加盟社間で統一が図られました。それまでは、車両価格のみを表示している販売店が多く、登録や整備にかかる費用は別に表示されていました。そのようなケースでは、「最後まで購入総額が分からない」という状況にあり、中には「車両価格の倍近く払わなければいけなくなった」という声も聞かれました。今回、すべての販売店が総額表示となり、足並みをそろえたことで、車の比較や購入がしやすくなったと言えます。

多くのニーズに応える中古車

 近年の中古車市場を見てみると、コロナ禍においては、半導体製造工場の閉鎖が相次ぎました。また、在宅ワークによるパソコンなどの電子機器の需要が高まり、半導体の需要が高騰しました。さらには、共に半導体材料の主要国であるロシアによるウクライナへの軍事侵攻などの影響により、世界的に半導体が不足し、新車の供給が不足するという事態に陥りました。納車時期が遅れることに加え、原油価格も高騰してガソリン価格が上昇するなど、中古車へのニーズは高まり、一時は販売価格がかつてない高値を付けました。
 中古車人気が続く中、新車の購入に対し、中古車を選択するメリットはいくつか挙げられます。▽経済的にリーゾナブルな価格で購入できること▽購入から納品までの期間が短くて済むこと▽メーカーが製造を中止した車種などを選択できること―など、多くのニーズに応えることができるのは、中古車の魅力とも言えます。
 一方で、デメリットもあります。新車とは違い、一台一台の品質や状態が異なります。走行距離をはじめ、故障歴や事故歴、メンテナンス歴などをしっかり把握することが重要になりますが、消費者がそれらの情報を得られるのは販売者からと限られています。昨今の大手中古車販売店による不正という報道が続き、「中古車は怖い」「どのお店を信頼していいのか分からない」と敬遠する人が増えてきているのも事実です。

信頼できる販売店で車選びを

 「どこで買ったらいいのか不安」という声が絶えない中、カギを握るのは、顔が見えて、信頼できる販売店を知ること。その一つの目安が、信頼できる業界団体に加盟しているかどうかです。JU中販連(一般社団法人日本中古自動車販売協会連合会ならびに日本中古自動車販売商工組合連合会)は、「安心と信頼の自動車販売店」をモットーに、全国1万店が加盟している組織で、岐阜県内には県組織として「JU岐阜」があり、県内一円の優良販売店(JU岐阜ショップ)427社が登録しています(2023年12月末現在)。中古自動車販売士の資格取得や適正販売店認定制度を設けるなど、安心して安全に車選びができる環境を整えています。

知識や接遇を習得した「中古自動車販売士」

 信頼を得られる基準の一つに、「中古自動車販売士」という資格を持つスタッフがいるかどうかがあります。中古自動車販売士は、さまざまな分野にわたる講習や検定を受け、合格したスタッフのみが認定される教育認定制度。中古車物件を見極める目を養うことに加え、中古車関連の法律やルールを遵守するモラルを身に付けることや、お客様の目線でサービスできる姿勢などを学びます。購入者に安心感を持って車を選べる環境を整えながら、業界としても、全体のイメージアップと質の向上に努めています。
 実際、中古車を購入する時によく聞かれるのが、「すぐに壊れないだろうか」「適正な価格なのか心配」「車種・年式・走行距離など、何をどう選んで良いか分からない」という不安の声。中古自動車販売士は、オイル交換したタイミングや修理の履歴など、取り扱う車の状態をしっかり把握しているため、適格かつ丁寧に対応してくれます。
 現在、県内には約330名が登録されています。JU岐阜ショップに登録し、中古自動車販売士のいる販売店で購入した人からは、「信頼できる組合に所属しているお店で、研修を受けたスタッフが在籍していることに安心感を覚えました。初めて中古車を購入しましたが、過去にどんな扱い方をされていた車なのか、不安だったことも、スタッフの方に思い切って聞いてみると、その車がこれまで受けてきたメンテナンスや現在の状態について、とても丁寧に詳しく説明していただき、不安なく購入することができました」と振り返り、「お店は自宅から近いので、何かあっても安心で、購入後のアフターフォローにも満足しています」と話しています。
 販売士の在籍する販売店は「販売士在籍販売店」として登録され、専用バナーやのぼり、ポスターなどが掲げられ、店内には認定証や証明書が表示されています。インターネットでも簡単に検索することができます。

「適正販売店認定制度」を促進

 さらに、安心して購入できるために、「JU適正販売店認定制度」を設けています。中古自動車販売士が在籍していることに加え、一定の基準を満たした中古車販売店を、一般社団法人日本中古自動車販売協会連合会(JU)が認定する仕組みです。中古車販売における数多くの法令やルールを正しく理解していることはもちろんのこと、顧客満足度を高めていくために必要な接客や顧客対応といったスキルを学ぶCS研修(Customer Satisfaction、カスタマーサティスファクション)を受講し、徹底したお客様目線での対応に関する教育研修を修了、または車両の状態を見極めるための研修「車両の見極め研修」を受講していることなどの基準をクリアした店を「適正販売店」として認定しています。現在、県内には約140社が認定を受けており、安心して信頼できる販売店選びの目印になっています。
  適正販売店のスタッフの意識も高く、「お客様の喜びは私たちの喜びと思い、お客様の安全安心を第一に、地域密着の中古車カーディーラーを目指しています。地域に根差したお店ですので、嘘をついたり大きな事実を隠したりしたら、いられなくなります。信頼され、愛される店づくりにこれからも努めていきたいです」と言います。
 JU岐阜の横山隆仁会長は、「販売店ごとでは開催が困難な研修などもJU岐阜という組合のスケールメリットを活用し、組合単位で各種研修などを受けることで、効率的、効果的に資質の向上を図っています」と自信を覗かせます。

地元に根を下ろした販売店に安心感

 業界に大きな衝撃を与えた不正問題について、横山会長は、「これまでは大規模なお店に目が行っていた方も、長年、地域に根を下ろした『"地元の車屋さん"が一番信頼できる』と再認識されたのではないかと感じています。中古自動車販売店の見方を変えるきっかけになったのでは」と前向きにとらえています。独自で開催しているキャンペーン「JU岐阜SHOPの日~プレミアムWEEK~」(2024年は1月19日~2月4日)をはじめ、加盟店が一堂に会して、地域ごとに春と秋に行われている「中古車ジャンボフェア」は、一時期、開催を自粛していましたが、新型コロナウイルス感染症の5類移行は、出展車両台数も戻りつつあり、来場者が安心して中古車を選ぶ機会になっています。
 今後も、安心・安全な車選びを実現していくために、横山会長は「加盟店がさらなる安全と信頼のための『お店づくり』に注力していくことが大切」と強調します。「各店舗が、研修などに継続的かつ積極的に参加し、資質の向上を図るとともに、『JU岐阜』としてのブランディングを強化し、地域で信頼され選ばれるお店であり続けることが厳しい業界で生き残っていく最も重要なことと考えています」と語り、「これからも中古車販売を通して、地域活性化を図りながら、安心して信頼して購入できる中古車を提供していきたい」と意気込んでいます。