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福岡の鍋といえば? 水炊き、もつ鍋、ふぐ鍋、すき焼きに。ツレヅレハナコ、冬の幸に舌鼓。

提供:福岡県

最終更新:

写真:相馬ミナ

食と酒と旅を愛する文筆家のツレヅレハナコです。現地へ行かずして東京で福岡が味わえるこちらのお店「福扇華」へ、秋コースに続いて、今回は冬の福岡ならではの「お鍋」を食べに再びやってまいりました。私の両親の出身地は福岡県。ご縁のある土地の味を堪能できるレストランです。水炊き、もつ鍋、ふぐ鍋、すき焼きとおいしいお酒。料理長にお話を伺い、福岡の食について語りながら、現地へ思いをはせました。

福岡料理と旬の味 福扇華 | ふくおか

東京都千代田区麴町1-12-1住友不動産ふくおか半蔵門ビル1階
東京メトロ半蔵門線「半蔵門」駅3a・4出口より徒歩3分 定休日:土日祝、お盆、年末年始
個室ご希望の際はご予約時にお伝えください。個室ご利用は、夜の部のみ10%サービス料がかかります。
ご予約、お問い合わせ:03-3288-2170

平日 昼の部:11時30分~15時(L.O.14時)夜の部:17時~22時(L.O.21時)
※新型コロナウイルス感染症の影響により、営業時間が異なる場合があります。

福岡の冬の旬を個室で味わえる、上質なひととき

ツレヅレハナコ(以下ハナコ):こんにちは。先日は、秋の「四季の宴・扇コース」を満喫させていただきました。今日は、九州ならではの冬のお鍋と地酒を堪能できると聞いています。楽しみ~。

料理長:福岡は、鍋料理の宝庫でもあるんですよ。この時期は、いつもにも増して地元食材をたっぷり使ったおいしい鍋をご提供したいと気合いが入りますね。今日はぜひ、ゆったりとした個室で鍋をお楽しみください。店内のテーブルや柱には県産木材をたくさん使っていますので、ほっとして過ごしていただけると思います。

ハナコ:福岡の工芸品がたくさん飾られていて、とっても上質な空間ですね。

県産木材が随所に使われている個室でゆったり。窓には、竹ヒゴで編み上げる「八女すだれ」

「博多織」。部屋ごとに異なる模様が展示されています

「八女手すき和紙」を使用した照明。木枠には栴檀(せんだん)

福岡の鍋の定番「水炊き」

料理長:ところで、ハナコさんは福岡の鍋といえば何を思い浮かべますか?

ハナコ:う~ん。やっぱり白濁したスープの「鶏の水炊き」は、はずせないですよね。あとは、みんなでワイワイ食べるのが楽しい「もつ鍋」かな。宝庫ということは、ほかにも鍋の種類があるのですか?

料理長:今日は、ご紹介したい福岡の鍋が4種あります。まずは、定番の水炊きから召し上がっていただきましょうか。こちらは「冬の宴・福コース」(8,000円※税込み)で提供しています。ランチメニューでも鶏肉の部位の種類がすこし異なりますが、水炊き御膳(1,380円※税込み)で召し上がっていただけます。

ハナコ:なんと4種も。そして、水炊き大好き、うれしい~。

海沿いで潮風を浴びて育つ「冬限定キャベツ」

「冬の宴・福コース」(8,000円※税込み)で提供されるほか、ランチでも水炊き御膳(1,380円※税込み)で食べられる。一人ずつの小鍋スタイル

ハナコ:(一口飲んで)うーん、スープだけでもごちそうですね。濃厚な鶏のうまみが舌に一気に広がります。この白濁スープは、家庭ではまねできない深い味わいだなあ。

料理長:白く濁るほどしっかり9時間炊いて、肉はもちろん骨からもだしを出し切るのが福岡の水炊きのスープです。肉は生後50日くらいの若鶏を使っているので、煮てもしっとりやわらかいのが特徴。水炊きに欠かせないキャベツは、冬だけ流通する福岡・若松の「若松潮風(R)キャベツ」を現地から直送しています。海沿いの畑で潮風を浴びて育つキャベツは、ミネラルたっぷりで甘さを増し、鶏肉との相性も抜群ですよ。

〆のちゃんぽん麺

〆では雑炊も選べる

ハナコ:うーん、お肉がほろりと骨からはずれて、臭みが一切ないですね。ゆずこしょうをチラリとつけると、またグッと味が締まります。キャベツも、火を入れるほどに甘みが増すような......。スープがどんどんおいしくなる。そして、〆は九州らしいちゃんぽん麺。もちもちの麺がスープを吸って、一気に食べちゃいそう。

キレのある後味ですっきり。「寒北斗」の『純米吟醸』

料理長:お酒は、「寒北斗」の『純米吟醸』をどうぞ。福岡には67軒の日本酒の酒蔵があり、その数は全国5位。個性豊かな蔵がそろっています。

ハナコ:わー、純米吟醸とは思えないほど、奥行きのあるうまみのお酒ですね。でも後味はキレが良くて、濃厚な水炊きにもぴったり。

水炊きが食べられる「冬の宴・福コース」(8,000円※税込み)

九州ならでは、甘いしょうゆを使った「穴子のすき焼き」がたまらない

料理長:次は、現地から直送した「穴子のすき焼き」です。こちらは、「冬の宴・扇コース」(10,000円)で召し上がっていただけます。
宗像市の鐘崎漁港は県下有数の穴子の漁獲量を誇ります。潮の流れが複雑な玄界灘で育った穴子は、ほどよい脂と引き締まった身が特徴です。現地では、筒かごを海に沈める「かご漁」という漁法が主流。一尾ずつていねいに引き上げるので手間はかかりますが、体に傷をつけず穴子を出荷できます。

玄界灘の荒波にもまれた、肉厚の穴子の身

「冬の宴・扇コース」(10,000円※税込み)で提供される。一人ずつの小鍋スタイル

ハナコ:穴子をすき焼きに!? この食べ方は、初めていただきます。九州ならではの甘いしょうゆを使った煮汁によく合いますね。そして、本当に穴子が肉厚でプリプリの歯ごたえ。玄界灘の荒波にもまれた様子がよくわかります。

料理長:現地の宗像のご当地グルメなんですよ。博多春菊と、きのこの生産が盛んな大木町のえのきも、朝倉のブランド卵「輝黄卵」につけてお召し上がりください。

いま注目されているお酒のひとつ。「白糸酒造」の『田中六五』

ハナコ:一緒にいただいている、このお酒もふくよかな味わい~。食前でも食中でもいけそうですね。ラベルもおしゃれ。

料理長:こちらは、糸島にある「白糸酒造」のもの。重しでゆっくり搾る、昔ながらの「ハネ木搾り」という手法で搾っている酒蔵です。なかでもこの『田中六五』は、8代目の若き当主が中心になって開発したもので、いま注目されているお酒のひとつです。さあ、すき焼き鍋のシメは、炊き込みごはんですよ。

根菜のおだしでほっとする。「野菜の炊きこみごはん」

ハナコ:細かく刻まれた根菜がたっぷり入っていて、なんだかホッとするごはんですね。思わずおかわりしたくなっちゃいます。

穴子のすき焼きが食べられる「冬の宴・扇コース」(10,000円※税込み)

「もつ鍋」は、九州産の牛もつを使用

料理長:次は、ランチでお出ししているもつ鍋も召し上がってください。

プリプリとろとろ。にんにくとニラで食べるほど元気に

ランチメニューの「もつ鍋コース」(5,000円※税込み)

ハナコ:わあ、おいしそう。そういえば、初めて現地でもつ鍋を食べた時は驚きました。関東では定番の豚もつではなく牛もつで、プリプリとろとろ......。にんにくとニラが効いて、食べるほど元気になっていくようなお鍋ですよね。

料理長:当店では、九州産の牛もつを使っています。濃厚な牛もつを引き立てるよう、あっさりとしたしょうゆ味のスープでご用意しました。

ハナコ:きゃー。牛もつ、とろけるような食感でたまりませんね。

酒蔵のある飯塚はホルモンが有名、もつ鍋との相性もよし。「瑞穂菊酒造」の『一鳥万宝』

料理長:もつ鍋には、「瑞穂菊酒造」の『一鳥万宝』を。合鴨(あいがも)農法で無農薬栽培した酒米を使ったお酒です。酒蔵のある飯塚はホルモンで有名な炭鉱の町。この鍋との相性も良いと思いますよ。

ハナコ:お酒も香りが華やかで深い味わいですが、スッと消える口当たり。うまみの強い牛もつにも負けていません。これは、楽しい組み合わせだなあ。

「鐘崎天然とらふく」の「ふぐ鍋」。冬の鍋の王様です

料理長:最後は、ぜひ召し上がっていただきたい「ふぐ鍋」です。福岡では縁起の良い文字「福」にかけて、ふぐのことを「ふく」と呼ぶんですよ。鐘崎漁港はトラフグの漁獲高も全国トップクラスで、水揚げされたふぐは「鐘崎天然とらふく」として東京や京都の高級料亭で使われています。当店では素材の良さを味わっていただけるよう、昆布だしをベースにしたシンプルな鍋に仕立てています。

ふぐと大吟醸で、贅沢に

前菜のてっぴから、てっさ、ふぐの唐揚げ、そしてふぐ鍋とふぐが最初から最後まで味わえる、「ふぐ鍋コース」(16,000円)。雑炊をつくるために、大鍋での提供となる

ハナコ:さすが、ふぐの身がきめ細かでつややか! いただいていると身と骨からだしが出てきて、スープもどんどんおいしくなっていきますね。

糸島産の酒米を使った、「喜多屋」の『大吟醸』

料理長:ふぐには「喜多屋」の大吟醸を合わせましょう。糸島産の酒米を使っていて、手間ひまのかかる「しずく搾り」を用いて繊細に仕上がっています。

ハナコ:ふぐに大吟醸。さすが豪華な組み合わせ~、贅沢(ぜいたく)ですね。芳醇(ほうじゅん)な味わいかつフルーティーな香りで気分も盛り上がります。
そして、〆はもちろん雑炊でしょう。これを食べるためにふぐ鍋を食べるといっても過言ではないほど、唯一無二な極上のおいしさですよね。はー、これは一口ごとに幸せが広がります。大満足すぎる。

「ふぐ鍋コース」(16,000円※税込み)

料理長:ありがとうございます。本日、ご紹介したい鍋は以上です。水炊きともつ鍋はランチでも召し上がっていただけます。穴子のすき焼きとふぐ鍋は、夜のコースで召し上がっていただけますが、昼も事前予約で用意が可能です。どのお鍋を食べたいかでコースを選んでみてくださいね。

4種の鍋を食べ比べていただき、いかがでしたか?

ハナコ:どれもこれも、おっしゃる通り個性豊かで驚きました。「福岡といえば」の水炊きやもつ鍋はもちろん、初めていただいた穴子のすき焼きも印象的。そして、鍋の王様・ふぐ鍋もそのクオリティーに感動しました。ああ、堪能した~。それにしても、肉、魚、野菜、卵、調味料、お酒......改めて、福岡県の食の豊かさに触れることができたような気がします。穴子すき焼きの本場・宗像にも行ってみたいし、何度もお話に出てくる魚介の宝庫・鐘崎漁港も見てみたい。そして、もちろん酒蔵めぐりもしたい。次に福岡に行く際には、食い倒れ、飲み倒れたいと思います(笑)。それまでは、またこちらのお店にお邪魔しますね。今日は、ありがとうございました。

プロフィール
ツレヅレハナコ
食と酒と旅を愛する文筆家。著書に『ツレヅレハナコのじぶん弁当』(小学館)、『ツレヅレハナコの薬味づくしおつまみ帖』(PHP研究所)、『ツレヅレハナコのお取り寄せ』(立東舎)など。Instagram:@turehana1