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「のどの痛み・腫れ」にも「肝斑(しみ)」にも効く「トラネキサム酸」のヒミツにせまろう

提供:第一三共ヘルスケア株式会社

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第一三共ヘルスケアの濵口真実さん。開発担当として新たな市販薬の種を探し、製品化する最前線で活躍している=東京都中央区の同本社前

 処方箋がなくても買える市販薬に配合されている有効成分のなかで、ぜひ注目したいのが「トラネキサム酸」だ。もともとは1965年に第一製薬(第一三共の前身のひとつ)が医療用の止血剤として開発し、国内外で幅広く使われ続けている。トラネキサム酸には、このほかにも大きな特長がある。さまざまな疾患の原因になる「炎症」を抑える「抗炎症作用」があることだ。これに着目して、のどの痛み、口内炎、かぜ、さらには女性に多いしみ「肝斑(かんぱん)」など幅広い症状に効くさまざまな製品を積極的に開発・販売してきたのが、第一三共ヘルスケア(東京都中央区)だ。トラネキサム酸の作用メカニズムや魅力、同社の市販薬開発のストーリーを探った。

「きっかけ」ユーザーも悩み切実

 産経新聞が運営するオンラインコミュニティ「きっかけ」のユーザーに、トラネキサム酸がどんな症状に効くかを伝えた上で、関係する「からだの悩み」を語ってもらった(『"トラネキサム酸"のヒミツにせまろう』)。きっかけはテーマやジャンルごとに自由なコメントができ、5万5000人以上が参加している。

「子どもの頃から気づくとできている口内炎...。おいしいものを食べるのが日々の楽しみということもあり、地味につらいことのひとつです」(みかさん、女性、38歳)

「ダントツで【シミ】です! 妊娠中から増え始めました。基礎化粧品を美白ラインにするくらいで、何をすればいいのかわからず...」(たそちゃんさん、女性、35歳)

 ユーザーからは1500を超える切実な声が寄せられている。特に目立ったのが、「トラネキサム酸はのどにもシミにも効くんですね。からだの異なる部位なのに作用することが、不思議で面白いなと思いました」(mariさん、女性、29歳)のように、トラネキサム酸のメカニズムや活用法を知りたい、というコメントだった。

第一三共グループが開発し、磨き上げる

 それでは、トラネキサム酸の歴史を簡単に振り返ってみよう。第一三共によると、1940年代以降の日本で、大けがや手術などによる出血を抑える止血剤の研究が熱心に行われていた。出血が止まらなくなる原因のひとつが、血液の凝固に役立つたんぱく質(繊維素原)を分解する酵素「プラスミン」の作用だとわかった。これを受けて、慶応義塾大学医学部講師の岡本彰祐博士らが数百の化合物を合成し、プラスミンの働きを抑制する作用が強い「イプシロン-アミノカプロン酸」を取り出した。第一製薬がさらに研究を進め、1954年に医療用医薬品の止血剤として製品化した。

 この製品は各国で安全性が確認され、需要が高まっていった。ただし、大量出血などで確実に作用するには、多量に投与しなければならなかった。同社は難しい研究の末に、少量の投与でも抗プラスミン作用を示す医薬品を開発。それが、1965年に発売された「トラネキサム酸」なのだ。

かぜ薬から歯磨剤まで 幅広く使われる成分

 では、トラネキサム酸はどのように身近な市販薬にも使われるようになったのだろうか。「トラネキサム酸には抗炎症作用があり、いろいろな疾患に対処できる効果がある点が興味深いですね」と話すのは、第一三共ヘルスケアで製品開発を担当する濵口真実さんだ。

 これまで何度も登場した「プラスミン」は、さまざまな刺激によって急激に増え、炎症や痛みを引き起こす物質を生み出すという特性がある。だから、トラネキサム酸でプラスミンの働きを抑制することによって、プラスミンが起こす炎症も改善できるというメカニズムだ。

トラネキサム酸を配合した第一三共ヘルスケアの製品の数々
写真中央(左から):「ペラックT錠」(第3類医薬品)、「トランシーノEX」(第1類医薬品)
※トランシーノEXは第1類医薬品です。購入時に薬剤師から説明を受け、「使用上の注意」をよく読んでお使い下さい。

 濵口さんは「トラネキサム酸に長年携わってきた第一三共グループには、豊富な知見が蓄積されています。アイデアが生まれたら、有効性や安全性をしっかり確認して、新たな製品を開発していきます。炎症はのどや歯ぐき、皮膚など、いろいろな部位で起こることから、トラネキサム酸は他の成分と組み合わせ、幅広い製品に応用できます」と説明する。さらに「トラネキサム酸はプラスミンを抑えますが、そのプラスミンは炎症以外にも関与するんです」と続ける。

 トラネキサム酸はいまでは、各社の製品にも多く利用されており、変わったところでは歯磨剤にも。歯周病などによる歯茎の炎症を抑える。「当社では口内炎治療薬、のどの薬、かぜ薬などに配合しています。最も特長的なのは肝斑(しみの一種)改善薬です」(濵口さん)。

肝斑の改善、紫外線対策だけじゃダメ

 トラネキサム酸の"ヒミツ"を知ったうえで、いよいよ「からだの悩み」の改善をサポートする第一三共ヘルスケアの開発エピソードを紹介していこう。まずは、女性に多いしみ「肝斑(かんぱん)」の改善薬だ。2024年3月8日にはシリーズ最新の内服薬「トランシーノEX」(第1類医薬品)が発売された。

 多くの女性にとって、しみは切実な悩みだ。「きっかけ」ユーザーへのアンケートでも、気になる症状のうち「しみ(肝斑を含む)」が66%を占めた。

 しみができる原因は、イラストのように、女性ホルモンの揺れや紫外線などの刺激が皮膚組織の「ケラチノサイト」を刺激することで、メラノサイト活性化因子(情報伝達物質)である「プラスミン」が「メラノサイト」に影響を与える。すると、メラノサイト内のチロシンが黒色メラニンに変化します。この黒色メラニンが過剰に生成されたり、滞留すると、しみになると考えられている。このため、紫外線対策や美白用化粧品を使用する女性は多いのだが...。

 濵口さんは「しみの改善は、しみの種類を知ることから始まります」と力を込める。しみには、紫外線が主な原因で、陽に当たるとどんどん出てくる「日光黒子」と呼ばれる普通のしみだけでなく、女性ホルモンの揺らぎなどが原因で、20~50代の女性に多く発生する「肝斑」もある。そして、改善方法は大きく異なるという。

 「普通のしみは、紫外線に当たると加齢とともにどんどん濃くなっていくので、UVケアやL-システイン、ビタミン剤が有効ですが、肝斑は"内からの刺激"が主な原因で、普通のしみと出方が違います。メラノサイト活性化因子のプラスミンを抑えるトラネキサム酸が有効であることは、長年の研究でわかっています」と、濵口さんは説明する。

 だが、同社の調査※1でも、1年以内にしみ悩みを経験している20~50代の女性のうち、72.9%が「肝斑という名称を知っている」と回答したものの、このうち、「肝斑の要因や適切な対処法まで知っている」と答えた人は、15.0%にとどまった。濵口さんは「トランシーノのブランドサイトでは、肝斑の原因やしみの種類などを紹介しており、簡単にできる『肝斑シンプルチェック』などもあります。まずはご自身のしみのタイプを知ってほしい」と重ねて強調する。

※1 対象:「美白・しみケア」「透明感・くすみケア」に関心があり、1年以内にしみまたは肝斑に悩んだ20~50代女性、かつ肝斑という名称を知っている1,500名 調査委託先:インテージヘルスケア(2023年7月調べ)

 第一三共ヘルスケアのしみ対策の総合ブランド「トランシーノ」は、内服薬としてトラネキサム酸などを配合した肝斑改善薬「トランシーノEX」(第1類医薬品)、ビタミンCなどを配合したしみ・そばかす対策薬「トランシーノ ホワイトCシリーズ」(第3類医薬品)、さらには美白※2・透明感ケア※2ができる薬用化粧品として、「トランシーノ薬用スキンケアシリーズ」※3(医薬部外品)を取り揃え、症状や目的に応じたラインアップとなっている。

※2メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ
※3 トランシーノ薬用クリアクレンジングn同クリアクレンジングEX、同クリアジェルウォッシュ、同クリアウォッシュEX、同UVパウダーnを除く

 このうち、肝斑改善薬は医療現場での発見がスタート台となった。抗炎症作用があるトラネキサム酸をじんましんの治療に使ったところ、患者の肝斑も改善したことを皮膚科の医師が見つけて論文に発表した。当時の開発担当者がこの論文に大きな可能性を感じ、トラネキサム酸の新たな知見を求めて各地の医師を訪ね歩いた。有効性や安全性を確認するために臨床試験を実施し、数年にわたる審査を経て、承認を取得した。2007年に内服で肝斑を改善する医薬品「トランシーノ」の誕生に至った。

「トラネキサム酸は第一三共グループのオリジナル成分で、豊富な知見が蓄積されています。これからもしっかり向き合いたいですね」と話す濵口真実さん

 この成果を受け継ぐ濵口さんは、「過去の論文やデータをしっかり読み込み、新たな治療法があるか、最新の論文もチェックしています。でも、肝斑にはトラネキサム酸とビタミンCの内服が今でもスタンダード。当社製品の配合成分、配合量に自信を持っています」と話す。

ターンオーバーを理解し、正しく服用

 では、その後にどんな進化があったのだろうか。2014年3月にリニューアルした「トランシーノⅡ」(第1類医薬品)は、有効成分の配合量はそのままに、「1日に2錠を3回」から「1日に2錠を2回」の服用に改良した。「仕事や育児で昼に飲み忘れる女性が結構いることがわかったからです。もちろん、このときも有効性や安全性を確認しています」と濵口さんは振り返る。

 そして、3月8日に発売した「トランシーノEX」は、肝斑改善の満足度がより高まることを目指したという。濵口さんは「どんな成分を加えるか検討を重ね、肌をすこやかに保つ働き(細胞賦活)が期待でき、近年注目されている『ニコチン酸アミド』(別名ナイアシンアミド)を新たに配合しました。ニコチン酸アミドは新陳代謝を促進する作用などもあり、肌を元気にする"肌ビタミン"として知られています」と説明する。

 濵口さんから、「トランシーノEX」で肝斑改善を目指す人へのメッセージを聞いた。それは同社が提唱する「8週間プログラム」 を実践することだ。

トランシーノが提唱する「8週間プログラム」をチェック

 「肌は排出器官でもあります。しみの原因となるメラニンも茶色の成分も『ターンオーバー』で肌表面に上がってきて、最後は必ず、垢になってはがれます。でも、メラニンがたまりすぎると、このスピードが落ちてしまうのです。トラネキサム酸の抗プラスミン作用で、メラニンの過剰な生成を根本から抑えておけば、肝斑は薄くなっていきます。8週間の服用は少し長く感じるかもしれませんが、ターンオーバーの期間を踏まえると、どうしても時間がかかります」と呼びかける。

痛みや腫れの原因を抑える

 症状はがらりと変わり、のどの痛みや腫れだ。「歌うと、のどに負担がかかり、痛くなります」(たかじゅうさん、男性、44歳)、「仕事で話す機会が多かったり、空気の乾燥だったりで、すぐにのどが痛くなります」(串カツさん、女性、33歳)など、かぜ以外の理由で悩む人たちが目立っている。濵口さんも「建物の近代化による密閉空間でエアコンを使用することなどにより、のどが乾燥して炎症を起こしやすくなっています」と指摘する。この季節は花粉による炎症も、のどへの負担を高める。

 こうした悩みに応える「ペラックT錠」(第3類医薬品)は、イラストのように、トラネキサム酸がプラスミンの働きを抑制することで、炎症や痛みを引き起こす物質の産生を抑えて抗炎症作用を発揮し、症状を効果的に抑える。さらに、「グリチルリチン酸」という有効成分を含む「カンゾウ乾燥エキス」も抗炎症作用を有しており、トラネキサム酸とは違うメカニズムで効果的に炎症を抑える。ペラックには細粒タイプの「ペラックT細粒クール」(第3類医薬品)も発売されている。サッと溶けるメントール風味の細粒で、より飲みやすいことが特長だ。

 濵口さんは「1985年に発売した当初の『ペラック』では、トラネキサム酸の配合量は成人1日あたり420ミリグラムでしたが、その後、トラネキサム酸を750ミリグラムに増量し、配合成分の組み合わせも変更した製品を開発。有効性、安全性を確認するための臨床試験を経て、炎症によるのどの症状に特化した『ペラックT錠』を発売しました。これは現在も市販薬で認められている最大量です。今後もより高い効果が発揮できる成分の組み合わせ、製品の開発を目指します」と展望を語った。

 このほか、のどの症状に特化したかぜ薬「ルルアタックEX」「ルルアタックEXプレミアム」(いずれも指定第2類医薬品)や、口内炎に特化した「トラフル錠」(第3類医薬品)も、トラネキサム酸の抗炎症作用を前面に打ち出した内服薬だ。

 ルルアタックEXは、痛みや炎症の原因となる「プラスミン」を「トラネキサム酸」が、「プロスタグランジン」を「イブプロフェン」が抑制する2つのメカニズムで、炎症を効果的に鎮めるのが特長だ。

 濵口さんは「生活者のかぜに関する知識が深まり、『症状に合った薬がほしい』というニーズが高まっています。核家族や単身世帯の増加も『自分の症状に合ったかぜ薬を』という需要につながっています」と分析する。

 一方 トラフルシリーズはスプレー、軟膏、パッチ剤など、いろいろな剤形を取り揃えているが、トラフル錠はこれらの外用薬と一緒に使用することができる。

工夫を駆使して錠剤をより飲みやすく

 こうした市販薬の開発には、どんなドラマがあるのか。濵口さんは「医療用医薬品は1種類の成分で製剤化することが多いですが、市販薬にはいくつもの成分が入ります。さらに、飲みやすさも求められます。錠剤が大きくならないように、研究、開発、製造などの担当者が徹底的に調査を行います。添加物を極力減らすなど製剤の工夫を駆使しています」と説明する。

 特に大変だったのは、「ルルアタックEXプレミアム」だったという。「有効成分を8種類も配合していますが、開発上、特に悩ましかったのがトラネキサム酸とイブプロフェンです。抗炎症作用の相性は良いのですが、成分同士の物理的な相性が悪いため、圧力をかけて一つの錠剤に成形する際に成分同士が反応して機械にくっついて、そのたびに止まってしまいました」(濵口さん)。そこで、両成分を錠剤内の別々の顆粒に分けて配合することで成分の接触を避けるなどのトライ&エラーを重ねたという。

 濵口さんは「これからも有効性・安全性を追求して、科学的根拠に基づく高品質な市販薬の開発に取り組んでいきます。そして、お客さま目線で、飲みやすさ、使いやすさの面も重視し、製品の付加価値を高めていきたいです」と力を込めた。

提供:第一三共ヘルスケア株式会社

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