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物価高で変わる家庭用プリンター選び 家計に優しいインクタンク式に支持

提供:キヤノンマーケティングジャパン

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 食料品の値上げや光熱費の高騰が家計を圧迫するなか、家電・デジタル機器の選び方にも変化が起きている。在宅勤務と出社を組み合わせたハイブリッドワークなどの定着でデジタル機器の利用機会が増え、日々膨らむランニングコストにより関心が高まりつつある。年末商戦が本格化する家庭用プリンター市場でも、ランニングコストが抑えられる大容量インクタンク搭載モデルに支持が集まる。仕事や学習、趣味など家族全員が活用するいま、家計の見直しにつながるかどうかがポイントになっている。

低ランニングコストで自然と節約

 「仕事中ごめん。またプリントアウトをお願いしてもいい?」。千葉市に住む40代会社員のパソコンには在宅勤務中、よく家族からメールが届く。中学1年の長女や同居する70代の両親が各自の部屋から、印刷を依頼する内容だ。
 家族で所有するプリンター計3台のうち、自室にあるキヤノンのインクジェット複合機「G3360」は唯一の特大容量タンク搭載モデル。ほかのインクカートリッジ式は5年以上前の機種ということもあって、インクコストがA4普通紙モノクロで1枚12円前後かかるが、G3360は1枚約0.4円と安い。格段の価格差を知った家族全員の印刷やコピーが集中し、「自分用のつもりが共用になった」と苦笑する。
 都内の会社に営業職として勤務し、昨年春にテレワーク時も大量な仕事の資料を紙で読みたいと購入した。いまも週2~3日は在宅で働き、営業先に直行する際のプレゼンテーション資料の印刷などに欠かせない。
 さらにデジタル教材を活用する長女は書き込み用に出力し、両親はネット上の情報も慣れた紙ベースで読むため、家族でA4普通紙の束1冊(500枚)を2カ月で使い切る。自宅にいる時間が伸び、原燃料高もあって光熱費がテレワーク導入前に比べて月額の2割強に相当する5000円程度増えるなか、「せめてプリンターの印刷費用は抑えようと考えて特大容量タンク搭載モデルを選んだ」。

光熱費や食品の値上げが連日報じられ、家計の負担が増している。

 結果、月3000円程度(250枚換算)かかっていたインクコストが、G3360は100円前後に。年間で3万5000円近くの節約効果になる計算で、「光熱費の上昇分の約6割はカバーできているかな」と安堵(あんど)の表情を浮かべる。
 物価高の収束が見えず、普段から小まめに電気を消したり、安い食材を買ったりと自助努力に励んでいる。しかし、会社員は「常に節約を意識していると気疲れする。ランニングコストの低い機種を選べば自然に支出を減らせ、ストレスもたまらない」と話した。

ブランドやサイズと並ぶポイント

 産経新聞が物価高についてアンケート(※)を実施したところ、家計に「影響している」との回答が全体の45.6%と半数近くを占めた。「やや影響している」と合わせて86.4%に達し、多くの世帯に負担増がのしかかっている。
 テレワークによる支出の変化を聞くと、外食費や交通費が減る一方、光熱費や水道代など支出が増えたという意見が目立つ。このため物価高への対策として「暖房を控えめに、室内でも厚着にする」「使わない時はコンセントを抜く。テレビは家族で一緒に観(み)る」「LED電球への交換」と節電など固定費に関するコメントが並んだ。
 年末商戦に向け家電選びのポイント(複数回答)も尋ねたところ、最多の「価格」や「操作性」に続き、「メーカー・ブランド」「大きさ」と並んで「ランニングコスト」が支持を獲得。「耐久性」「デザイン」を上回った。

 家電業界に詳しい調査会社BCNチーフエグゼクティブアナリストの道越一郎氏は「家電・デジタル機器も価格が上昇し、コストパフォーマンスの良さを求める傾向が強まった。特に消耗品が多いプリンターなどはランニングコストまでしっかり考えて選び、生活防衛につなげている」と分析した。

ハイブリッドワーク、自宅学習で「必需品」に

 キヤノンの2022年1~9月期のインクジェットプリンター販売台数は前年同期比34%増と大幅な伸びを記録した。テレワークで急拡大した需要が落ち着き、消耗品の売り上げは減少したが、引き続き市場は堅調に推移しているとみられる。
 キヤノンマーケティングジャパンでインクジェットプリンターの企画を担当する西島真大氏は「ハイブリッドワークや自宅学習で用途が広がり、家庭の必需品になりつつある」と指摘した。従来は年賀状印刷を中心に価格の安いモデルに人気が集まったが、利用頻度が高まり購入者の要求も多様化している。

キヤノンマーケティングジャパンの西島真大氏

 キヤノンの特大容量タンク搭載モデルの新製品「G3370」はA4普通紙文書の印刷にかかるインクコストがモノクロ1枚約0.4円、カラー約1.0円。1回の充填(てん)で標準モードはブラック約6000枚、エコノミーモードは約7600枚を出力でき、ランニングコストの低さと手間の少なさで大量印刷が必要な層にアピールする。さらに、1.35型の液晶モニターを採用し、ホーム画面でコピーやスキャンを素早く選べる。本体カラーは従来のブラックにホワイトを追加し、「テレワークでリビングなどに置くニーズにも応えた」(西島氏)

「G3370」はインクタンクの注入口の形状をカラー別に変え、故障の原因となる誤注入を防ぐ仕組みを採用している。

 一方、PIXUSシリーズの最新モデル「XK110」は5色ハイブリッドインクを採用し色の再現性や階調性が高い写真印刷とモノクロ文字がより鮮明な文書印刷が可能になる。カートリッジ式ながら、A4普通紙1枚のインクコストはモノクロ約1.5円、カラー約3.9円と比較的低い。家族で共有する1台として、操作画面の「仕事」「学習」「ライフ」などのショートカットボタンを自ら設定して、登録メニューをカスタマイズできる機能も搭載している。
 西島氏は「仕事や学習、趣味などおうち時間を充実するツールにプリンターがある。環境変化に対応し、新たな用途やニーズを捉えた機能やサービスを提案したい」と話した。
 ※産経iDの登録者を対象に11月15~21日に実施し、読者610人が回答。