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Andonは何を照らす?松井製作所がBtoBウェビナー開催情報検索サイトを開設

提供:株式会社松井製作所

最終更新:

シンプル操作が特徴のBtoBウェビナー検索サイト「Andon」

2021年12月、新たな検索サイトが公開された。サイトの名前は「Andon」。BtoB(企業間の取引)に特化したオンラインセミナー(ウェビナー)開催情報を調べられるサイトで、アカデミックな最先端技術、産業情報から英会話、ビジネスマナーまで、さまざまなビジネスパーソンのニーズに合わせたウェビナー情報を的確に提供する。開設したのはプラスチック成形用合理化機器・システムメーカーの松井製作所。装置メーカーとしてものづくりを志向してきた同社はこれまでの歩みと全く異なるWEBサービスで何をしようとしているのか。

Andonが照らす道

ウェビナーは新型コロナの影響でリアルイベントが難しくなったことで急速に定着し、今やBtoB、BtoC(企業と個人間の取引)ともに大半のセミナーがオンラインで開かれている。ところが、いわゆる大手インターネット検索サイトでは、受講希望者が目的とするセミナーを探し出すことは非常に難しい。すでに終わったセミナーはもちろん、リアルセミナーや対象の異なる業界、自身と合致しない職種、キーワードを絞り込んでも有益無益のあらゆる情報が引っかかってくる。Andonはインターネット社会であふれる情報の中から必要なものを見いだすためのほのかな明かり、「行灯(あんどん)」となる。ほのかな明かりを頼りに歩く道は、業界、技術の未来、個人のキャリアへとつながるというわけだ。BtoBに的を絞ることで、企業と顧客の円滑なマッチングも図られる。URLは「and-on」とハイフンを挟むが、行灯になじみのない海外でも受け入れられるよう、「知識を加え(and)、上乗せ(on)していくサイト」という二重の意味を込めた。

ウェビナー情報の登録と検索、どちらのユーザーにも使いやすいシステム

Andonでは、開催者によるウェビナーの登録を常時、無料で受け付けている。ウェビナー情報のURLと関連キーワードを入力するだけで、ライブ配信だけでなくアーカイブ配信のウェビナーも登録できる。テーマや内容などを示すタグはデータベース内で機械的に自動で抽出され、さらに人の目でも改める。事務局による確認が入ることで、情報の精度は高まり、投資勧誘などBtoBウェビナーとしてふさわしくないセミナーは除外される。
ウェビナーを開く企業の多くは潜在顧客の掘り起こしを狙う。しかし開催を案内するダイレクトメールの宛先は自社の顧客データベースによるところが大きく、新規開拓につながりにくいのが実情だ。Andonはメールによる登録も受け付けており、自社の配信用メーリングリストに追加しておけば、これまで接点のなかった人たちにも訴求できるようになる。企業の販路開拓ツールとして活用できる。

開催時期、キーワードから簡単に検索可能

一方、受講者となるユーザーはキーワード検索で関心のあるウェビナーを素早く、簡単に探せる。さらにトップページに表示されるおすすめタグから、思わぬウェビナーを見つけることもできる。Andonはリンク先にあるセミナー開催者のウェブページで直接、申し込み手続きをする形をとっており、会員登録は不要。いつでも気軽に使えるサービスとして提供している。ウェビナーの登録件数の多さが受講者の利便性に直結する中で、Andonは2月末に登録1万件を突破し、順調に登録数を増やしている。

豊富なタグからも希望のウェビナーを探せる

産業分野のメーカーがサービス立ち上げに動いた理由

Andonの開発は松井製作所の松井宏信社長の発案でスタートした。具体的なシステム構築や運営は、まなれぼ(大阪市中央区、吉川聡社長)が担っている。まなれぼは地域おこしのためコワーキングスペースを運営するとともに、BtoC向けの対面型セミナーも多く開催。新型コロナ感染症拡大後はウェビナーの知見も蓄えており、旧知の仲だった松井社長の声がけに吉川社長が応じた。システム構築には、まなれぼのコワーキングスペースを利用する会員らもアイデアを出し、ウェビナーに特化した操作性の高いサイトデザイン、検索アルゴリズムを実現している。

インタビュー、松井製作所社長 松井宏信氏、まなれぼ社長 吉川 聡氏

松井製作所の松井宏信社長(左)と、まなれぼの吉川聡社長

――プラスチック成形用合理化機器・システムメーカーの松井製作所がウェビナー検索サービスを始めたのはなぜですか。
松井 「われわれのようなBtoBの商売では、新商品や新技術を売ることは大変で、なんとか変革できないかという思いがずっとあった。広告を出したりウェブページに載せたりして、そこから問い合わせがあれば訪問して提案するということをやっているが、効率的とは言い切れなかった。そこで数年前から対面型セミナーも実施、1回に数十人集まってもらっている。新型コロナでリアルセミナーができなくなり、ウェビナーに切り替えてみると、もっと効率がよくなった。リアルセミナーは定員数十人なのに対し、ウェビナーだと200人でも開催が可能だ。ただ、集客のために過去に何らかの接点のあった人に電子メールを送るが、これでは新規のお客さまには来てもらえない。ウェビナー自体は非常に良い機能なので、供給する側も受ける側も助かる効率的なマッチング機能があればいいなと考えた」

――まなれぼと協力して立ち上げました。
松井 「吉川社長は高校の同級生で旧知の仲。リクルート勤務を経て新ビジネスをいくつも立ち上げた経験を持っている。松井製作所の本社の近くで、コワーキングスペース『OBPアカデミア』を運営し、セミナー事業を行っていることも知っていた。いろんな職業の人がそこに集まっており、私も会員の一人だ。吉川社長に私の思いを投げかけると賛同を得られ、OBPアカデミアの皆で一緒にアイデアを練り上げてくれた」

吉川 「われわれのようなベンチャーや新事業を周知するには今、インターネットしか方法がない。対面型セミナーなどは時間と空間に制約される部分が大きいが、ウェビナーは情報発信の有効な手段となる。ウェビナーの方向に向かう必要があると思っていたところに松井社長から相談を受けた。BtoC向けのウェビナーマッチングサイトは存在しているが、BtoBでは有力なメディアがまだ存在していない。そうであれば自分たちでやってもいいのではないかというのが参画を決めた理由だ」

開発に参加したまなれぼのスタッフ

――Andonで推している特徴は何ですか。
松井 「誰でも見られるサイトにウェビナー開催情報を登録して、多くの人に来てもらうというシステム。ウェビナーを探しているユーザーからすれば、BtoCのウェビナーはマッチングサイトを使って探すことはできてもBtoBは探しようがなかった。既存の検索エンジンで検索してもうまく出てこない。こういう人が自分にぴったりのBtoBウェビナーを探すことができる。タグを充実させているので、そこから新たなウェビナーとの偶然性の出会いも創出される」

吉川 「セミナーの中身から抽出されるキーワード、タグは使い古されたものではなく、最新のものが出てくる傾向にしている。ユーザーも今の動向、新しい技術、新しいキーワードを知ることができる。例えば医療関連の業界では今こんなことに関心があるのだなといった気づきがある。たとえウェビナーを受けなくても、Andonから世の中の関心事を知ることができる」

ウェビナー検索サイトから日本の最先端を世界に発信

Andonのセミナー登録は無料だ。検索ユーザーにも利用のハードルが上がるログイン機能をあえて設けず、自由に使える設定を基本にした。BtoBウェビナー検索サイトとして他社に先行して登録件数、利用者を拡大する狙いがある。
さらに松井製作所はAndonのプラットフォームを活用して、「松井製作所」の名を冠した専用検索サイトを立ち上げ、本業のプラスチック関連のウェビナー検索や業界情報を発信している。業界関係者に有益な情報をチョイスして提供するいわゆるキュレーションサイトで、Andonのデータベースを活用することによる業界の活性化、顧客との新しい関係構築の手段を探っている。このプラットフォームは今後、他社にも開放する予定だ。同社のサイトをモデルにさまざまな業界にそれぞれのキュレーションサイトが立ち上がる未来図を描いている。

両者はAndonを軸にしたさまざまな展開を検討している。システム的には検索で使用するキーワードやタグの傾向分析で、そのユーザーに適したウェビナーを提案するリコメンド機能の付加など情報提供機能を充実させる。これに先駆け関心のあるキーワードを登録することで、自分に合った最新のウェビナー情報が届くメーリングリスト機能も実装した。
さらに同じ業界の複数ウェビナーを1パッケージにして短期間に集中するウェビナー見本市の開催も検討する。現在は日本語版のみだが、順次、英語版、中国語版などの立ち上げを計画。企業と顧客のマッチングツールとしてグローバルでこの地位を確立する考えだ。「日本は情報の流通で世界に後れを取ってきた。まだ世界にないサービスを日本発で立ち上げたい」と松井社長。「外国語版のAndonは日本の優れた技術や管理手法などを海外にアピールしていく場にもなる」と、Andonプラットフォームから夢を広げる。