バイデン新政権の注目閣僚は誰なのか。指名された人物から見えてくる傾向は、民主党オバマ政権(2009~2017年)の継承だ。オバマ政権下でバイデンと働いていたスタッフも入閣することから、「オバマ政権の3期目」という見方もできる。
バイデン新政権を動かすのは、それぞれの分野のプロフェッショナル。彼らは、チームプレーを軸にした交渉で国内外の課題に臨んでいくだろう。対峙する国によっては、トランプ政権よりもじりじりと間をつめるように進めてくるので、「厳しい」と感じるかもしれない。
「自国第一主義」を掲げ、国際的枠組みからの離脱を続けてきたのがトランプ政権のアメリカ。バイデン新政権ではそこから転換し、国際的な枠組みに帰還する。それらの多くは、「自由主義」(リベラリズム)を掲げるアメリカがつくったものだった。バイデンのアメリカは、トランプ政権で低下した国際的影響力をどこまで取り戻し、国際的なリーダーシップをとることができるだろうか。
トランプ政権下では、新型コロナウイルスの感染拡大を軽視する言動が見られていた。トランプ支持者にはマスク拒否を貫く人も少なくない。バイデン新政権がマスク着用を義務化しても、州の自治が強いアメリカでどの程度実行力を持つかは不透明だ。むしろ個人の自由を侵害するものとして、訴訟が起きる可能性があるという。あとは昨年末から始まったワクチン接種をどこまで進められるかだが――。
日本が気になるのは北朝鮮の日本人拉致問題だ。バイデン新政権はどの程度積極的に関与するのか。コロナ対策、気候変動問題、対中国、イラン核合意など様々な問題があるなかで、アメリカがすべての問題にコミットすることは難しい。北朝鮮の日本人拉致問題は優先度が下がってしまう懸念もある。
バイデン新大統領は「アメリカは戻ってくる」と宣言した。戻ってきた先に広がる未来はどんなものなのか。それは「よきアメリカ」なのか、あるいはそうではないアメリカなのか。2年後には上院下院の連邦議会選挙が行われる。それまでに、新政権はどれだけの成果を残せるのか。
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