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3分でわかる「バイデン新政権」――トランプ時代から何がどう変わる?

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4年に及んだトランプ政権からバイデン政権への転換――。いま、アメリカ政治が大きく変わろうとしている。脇を固める重要閣僚は誰なのか。その顔ぶれから見えてくる基本姿勢はどういったものなのか。外交、安全保障、コロナ対策、経済、人種問題、対日政策はどう変わるのだろうか。アメリカ政治に詳しい国際ジャーナリスト・小西克哉さんの話を元に、ビジュアル記事で解説をする。(監修:国際ジャーナリスト、国際教養大学大学院客員教授・小西克哉、デザイン&イラスト:オザワタクヤ/Yahoo!ニュース 特集編集部)

この1月、民主党陣営はもう一つ大きな壁を越える必要があった。ジョージア州上院決選投票(2021年1月5日)で、2議席を獲得しなければならなかった。1議席でも落とすと、民主党は上院議会で共和党に過半数を維持され、バイデン新大統領は政権運営で大きな支障をきたすところだった。接戦の末、民主党は2議席を獲得し、上院で同数の議席を得た。上院での採決は副大統領が決裁するため、議席が同数でも上院を支配できる。すでに過半数を維持する下院に加えて、両院で大きな権限を得ている。

ジョージア州上院選での開票が続く1月6日。首都ワシントンで大事件が起きる。トランプ支持者が連邦議会に押しかけ、一部が大統領選の承認審議をしていた議事堂に侵入したのだ。混乱のなか、5名が命を落とした。トランプは「議事堂に向かって行進を」と支持者に訴え、内乱を煽ったとして厳しい非難を浴びた。民主党は弾劾決議案を下院に提出。可決をされた。トランプ政権内部からも罷免に関する協議がされた報道もある。Twitter社は自社のSNSからトランプを永久追放処分とした。

熾烈を極めた米大統領選は、アメリカ史に残る議事堂襲撃事件で幕を閉じたのだった――。

「America Is Back.」(2020年11月10日に、バイデンが米デラウェア州の記者会見で発言)

バイデン新政権の注目閣僚は誰なのか。指名された人物から見えてくる傾向は、民主党オバマ政権(2009~2017年)の継承だ。オバマ政権下でバイデンと働いていたスタッフも入閣することから、「オバマ政権の3期目」という見方もできる。

バイデン新政権を動かすのは、それぞれの分野のプロフェッショナル。彼らは、チームプレーを軸にした交渉で国内外の課題に臨んでいくだろう。対峙する国によっては、トランプ政権よりもじりじりと間をつめるように進めてくるので、「厳しい」と感じるかもしれない。

「自国第一主義」を掲げ、国際的枠組みからの離脱を続けてきたのがトランプ政権のアメリカ。バイデン新政権ではそこから転換し、国際的な枠組みに帰還する。それらの多くは、「自由主義」(リベラリズム)を掲げるアメリカがつくったものだった。バイデンのアメリカは、トランプ政権で低下した国際的影響力をどこまで取り戻し、国際的なリーダーシップをとることができるだろうか。

トランプ政権下では、新型コロナウイルスの感染拡大を軽視する言動が見られていた。トランプ支持者にはマスク拒否を貫く人も少なくない。バイデン新政権がマスク着用を義務化しても、州の自治が強いアメリカでどの程度実行力を持つかは不透明だ。むしろ個人の自由を侵害するものとして、訴訟が起きる可能性があるという。あとは昨年末から始まったワクチン接種をどこまで進められるかだが――。

日本が気になるのは北朝鮮の日本人拉致問題だ。バイデン新政権はどの程度積極的に関与するのか。コロナ対策、気候変動問題、対中国、イラン核合意など様々な問題があるなかで、アメリカがすべての問題にコミットすることは難しい。北朝鮮の日本人拉致問題は優先度が下がってしまう懸念もある。

バイデン新大統領は「アメリカは戻ってくる」と宣言した。戻ってきた先に広がる未来はどんなものなのか。それは「よきアメリカ」なのか、あるいはそうではないアメリカなのか。2年後には上院下院の連邦議会選挙が行われる。それまでに、新政権はどれだけの成果を残せるのか。

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ロイター/アフロ、代表撮影/ロイター/アフロ

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